巨額の仮想通貨詐欺事件に関連し、米政府が140億ドル相当のビットコイン(BTC)を準備金に追加する可能性が浮上している。

米司法省は火曜の発表で、12万7271BTCの没収訴訟を提起したと明らかにした。記事執筆時点での評価額は約144億ドルにのぼる。このビットコインは、カンボジア拠点の企業を率いる創業者兼会長、チェン・ジー氏に対する裁判に関連している。同氏は「豚の屠殺詐欺」と呼ばれる仮想通貨投資詐欺の首謀者とされている。

米財務省外国資産管理局(OFAC)は、起訴状の公開と同日に、チェン氏の会社であるプリンス・ホールディング・グループおよび関連企業を制裁対象に加えた。

司法省の訴状によれば、米国はニューヨーク東部地区連邦地方裁判所でのチェン氏の有罪判決後、これらのビットコインの没収を求める方針だ。起訴内容は電子通信詐欺共謀およびマネーロンダリング共謀であり、ビットコインは「現在、米政府の管理下にある」とされている。

裁判所が没収を承認すれば、このビットコインは米国の戦略的準備金への過去最大規模の追加となる。米国のトランプ大統領は3月の大統領令により、ビットコイン準備金制度を創設している。

訴状によると、詐欺の収益の一部は「高級腕時計、ヨット、プライベートジェット、別荘、高級コレクションや希少な美術品の購入」に充てられたという。チェン氏は火曜時点で逃走中で、有罪となれば最長で懲役40年を科される可能性がある。

米国の準備資金調達戦略

トランプ大統領が3月に大統領令で戦略的ビットコイン準備金およびデジタル資産備蓄を創設して以来、米国の保有量は増加を続けている。発表時点で、政府保有分は約19万8000BTC(約220億ドル)に達しており、今回の押収分を加えると総保有量は約32万5000BTC(約360億ドル)に膨らむ見通しだ。

この政府準備金は、刑事事件や民事没収を通じて押収された仮想通貨によって積み上げられてきたが、ホワイトハウスの政策アドバイザーや一部議員の間では、さらに準備金を増やす提案も浮上している。

2024年11月には、共和党のシンシア・ルミス上院議員が、政府の金準備の一部をビットコインに転換する案を提示した。米国はフォートノックスなどに8100トン超の金を保有している。

ただし、トランプ大統領の大統領令が、金などの資産を売却してビットコインを購入する権限を政府に与えているかどうかは不明である。ベッセント財務長官などは、予算中立的な方法でビットコインを購入できると提案しているが、議会の承認が必要となる可能性がある。

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