ブロックチェーン分析企業のチェイナリシスは、国際的なマネーロンダリング規制の枠組みを議論する金融活動作業部会(FATF)に対して、仮想通貨取引所に対するデータ提出の義務化をやめるように求めた

チェイナリシスは、FATFが各国の取引所に対して、仮想通貨の送金・受金者の記録を特定して追跡することを求めていることを批判。技術的にも困難な要求であることに加えて、もし取引所が従えずに閉鎖に追い込まれるようなことがあれば、犯罪者たちは地下金融組織や分散化されたプラットフォームに追いやられるだろうと予想。規制当局にとって犯罪者の追跡も難しくなると主張した。

「規制当局にとって重要な盟友である取引所に対して負担の重い投資をさせ軋轢を生じさせることは、規制された取引所の普及を損なうことになり、分散化されたP2P(相対取引)が可能な取引所で取引活動が活発になるだろう。(中略)結果、現状で規制当局が手にしている取引の透明性を減じることになるだろう」

FATFは昨年10月、2019年の6月までに最初の仮想通貨規制ルールを策定する方針であることを明らかにした。マネーロンダリングやテロ対策などのため世界中の規制当局にライセンス発行を求める方針で、不十分な国はFATFのブラックリストに追加。世界の金融システムへのアクセス権を制限することになるという。

チェイナリシスは、ブロックチェーンの分析により仮想通貨不正を追跡することを得意としている。

今年1月には、2つのハッカーグループが仮想通貨ハッキングでこれまで10億ドル(約1090億円)分の仮想通貨を盗み取ったことを明らかにした。

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版
原文 Chainalysis Urges FATF to Rethink Data Demands on Crypto Exchanges