ビットコインマイニング用のASIC(特定用途向け集積回路)を手がける中国のカナン(Canaan)が、米国での試験生産を完了したと発表した。

コインテレグラフに対して、カナンは「米国における試験生産が成功裏に完了した」と明らかにした。また同時に、AI半導体事業からの撤退も発表し、これを「重点領域を明確化するための戦略的な再編」と位置づけている

カナンの会長兼CEOであるチャン・ナンゲン氏は、「仮想通貨インフラおよびビットコインマイニングという当社の中核分野に注力することが、最も戦略的な前進の道だと確信している」とコメントした。

カナンの広報担当者は、米国における生産コストが高いことを認めつつ、「今回の取り組みは関税対策というだけでなく、長期的なレジリエンスに向けた戦略的投資と位置づけている」と説明した。

また、北米市場に近い場所で生産を行うことで、納品スピードの向上、現地需要への迅速な対応、さらには将来的な地政学的・規制的変動への対応力を強化できるとしている。

カナンのシェアは2.1%となっている Source: Cambridge Digital Mining Industry Report

カナンのほかにも、ビットメインやマイクロBTといった世界の主要なマイニングASICメーカーが、米国での生産を本格化させている

カナンの米国進出は長期的な取り組み

カナンの広報担当者は、米国でのビットコインマイニングASICの製造は一時的な対応ではなく、長期的な戦略の一環であると強調した。

「我々は現在、米国におけるコスト構造の最適化に積極的に取り組んでおり、生産コストの抑制を目指している」

現在、マレーシアで製造されたカナン製品には10%の関税が課されており、一方で輸入部品や原材料にかかる関税は不透明であるため、コスト計画が困難な状況となっている。

このため、カナンの米国展開は「コスト管理、顧客需要、そして関税制度の明確化といった要素を総合的に勘案し、商業的な実現可能性が確保されることが前提となる」としている。

米国基準への準拠も明言

同社は米国の国家安全保障基準に関する懸念にも言及し、自社製品はマレーシアで製造され、現地当局の認証を受けていることを強調した。

「今後、米国内での生産を拡大する場合には、技術およびセキュリティに関する米国の最新基準に準拠した運営を徹底する」

この発言は、2024年11月に米国当局による調査を受け、米国税関・国境取締局がビットメイン製のASIC数千台の輸入を一時停止した件を受けたものとみられる。当該調査は、中国の半導体設計企業ソフゴと、米国の制裁対象である通信大手ファーウェイとの関係性が問題視されたことによるものだった。

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