ビットコイン(BTC)マイニング向け専用半導体(ASIC)の大半を生産しているビットメイン(Bitmain)、カナン(Canaan)、マイクロBT(MicroBT)の3社が、米国内での生産に乗り出す計画であるという。ロイター通信が18日に報じた

この動きは、トランプ米大統領が中国に対して課した報復関税への対応とみられる。現在、中国からの輸入製品には25%の関税が課されており、かつては100%を超えるケースもあった。

ケンブリッジ大学が4月に発表した調査によると、ビットメインが世界のビットコインASICの82%を生産、マイクロBTが15%、カナンが約2%を占めており、3社合計で世界市場の99%を握っている。

Mining hardware distribution by manufacturer chart. Source: Cambridge Digital Mining Industry Report

「デジタルマイニング用ハードウェア市場は寡占的構造にあり、ビットメイン、マイクロBT、カナンの3社で99%以上のシェアを占めている」と、同調査は指摘している。

記事執筆時点では、3社はコインテレグラフからの取材に回答していない。

地政学がビットコインマイニングに与える影響

ビットコインはグローバルなネットワークであるため、地政学的要因がマイニングに影響を与えるのは今回が初めてではない。ハッシュラボ・マイニングのジャラン・メレルドCEOは4月初旬、トランプ政権による広範な関税措置により、米国内でのマイニング機器需要が崩壊する可能性があると指摘していた。

同氏によれば、関税の影響でメーカーは余剰在庫を米国外の市場に安価で販売することを余儀なくされるため、国外マイニング事業者にとっては恩恵となる可能性があるという。ただし、米国におけるビットコイン産業の拡大を受け、これらメーカーは関税の経済的影響を回避する目的で、米国内での生産体制構築を選択したとみられる。

米国内での生産が、中国での製造と同等のコスト競争力を持つかどうかは、依然として不透明だ。

ビットメイン、米国でのトラブルを回避へ

世界最大のビットコインASICメーカーであるビットメインは、米国税関との今後の問題回避も視野に入れている可能性がある。

2024年11月末、米国税関・国境警備局は、ビットメイン製ASIC数千台の配送を差し止めた。これは、同年10月に米当局が中国のチップ設計会社「Xiamen Sophgo」に対し、制裁対象であるファーウェイ(Huawei)との関係をめぐって調査を開始したことが背景にある。

SophgoはビットメインのASIC製造事業を支援しており、その関連性が問題視された格好だ。

差し止められていた約1万台のASICは、2025年3月初旬になってようやく解放された。

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