「マネーの進化史」などで有名なイギリスの歴史家ニーアル・ファーガソン氏が、仮想通貨メディアBreakerMagの取材に答え、ビットコイン(BTC)とステーブルコインを比較して「ビットコインは他の資産と相関関係が大きくなく、特異な存在」であり、「だからこそ投資家が好んでいる」という見解を示した。

ファーガソン氏は、2008年にビットコインのホワイトペーパーが約束したことのほとんどはまだ実現されていないものの、仮想通貨の中で一番重要なのはビットコインだろうと指摘。とりわけデジタルゴールドとしての選択肢に注目し、将来「没収されるのが困難な流動的な資産」や「一種の保険」として機能するだろうと予想した。そして、かつてヨーロッパの富裕層が金の宝石や貴重な石を保有したように、ビットコイン利用者は秘密鍵を保管するようになるだろうと述べた。

一方、ステーブルコインに関しては悲観的な見方を示した。ほとんどのステーブルコインが円やドルと連動することで価値を安定させようとしているが、ファーガソン氏は、「それ自体が、法定通貨の代替ではないことを暗に示唆している」と指摘。「ほとんどの主要な法定通貨は、ここ数年、インフレの観点でかなりうまく機能している」とし、まあまあうまくやってる法定通貨の代わりを作ろうという試みが「明らかに勝利につながる戦略とは言い難い」と述べた。

その上でファーガソン氏は、次のように述べた。

「ステーブルコインの作成者は、ビットコインは普通でないタイプの資産であって、他の資産クラスと相関関係が大きくないということを覚えておくべきだ。投資家は、その特異性が好きなんだ。法定通貨に裏付けされたコインは、そうした魅力に欠けている」

ファーガソン氏にとっての「悪夢」

マネーのデジタル化は避けられないと考えるファーガソン氏だが、米ハイテク大手のフェイスブックやアマゾン、グーグルが主導で構築するデジタルマネーに対しては危機感を示した。

「私の悪夢は、アマゾンやグーグル、フェイスブックが非常に人気のあるデジタル・ドルを発行し、そしてそれを使った取引すべてがプラットフォームのビッグデータ /AIシステムによって監視されるというものだ。そしてそれはかなりの程度、実際に起こり得るだろう」

その上でファーガソン氏は、「分散型台帳モデルで実験をしている理由は、中央によって監視されない何かを構築することだ」と付け加えた。