米国の債務停止期間が3月15日に終了し、新たな流動性が市場に供給されることで、ビットコイン(BTC)の価格反発の契機となる可能性があると指摘されている。
政府支出再開がビットコイン市場に与える影響
米財政は、1月20日のドナルド・トランプ米大統領の就任翌日に36兆ドルの債務上限に達した。1月17日の発表によれば、これに伴い、「債務発行停止期間」が設定され、3月14日まで継続する予定だ。
この2カ月間の債務停止期間中、ビットコイン価格は22%下落し、1月21日の10万6000ドル超から3月12日時点で8万2535ドルにまで落ち込んだ。
BTC/USD, 1-day chart since Debt suspension plan. Source: Cointelegraph/TradingView
ビットゲット・リサーチのチーフアナリストであるライアン・リー氏は、政府支出の再開が市場の流動性を回復させ、ビットコインの次の上昇を促す可能性があると指摘する。
「現金が手元にあれば、株式や仮想通貨といった金融資産の需要が高まり、現在のボラティリティも緩和される可能性がある」とリー氏はコインテレグラフに話す。
「こうした時期には市場全体のモメンタムが強まる傾向にあるが、インフレ、金利、地政学リスクなど他の要因も考慮する必要がある」とも語る。
また、仮想通貨インデックス投資会社J’JOの共同創業者兼CEOのアレクセイ・ポノマレフ氏は、3月7日に開催されたホワイトハウスの仮想通貨サミットから2週間後に債務停止期間が終了する点に注目し、一部の新たな流動性が仮想通貨市場に流れ込む可能性があると分析している。
「流動性の急増は歴史的にビットコインやリスク資産にとって好材料となってきた。今回の債務停止期間終了も例外ではない」
「ただし、この流動性の増加は短期的な影響に留まり、長期的なビットコイン価格の動向は、機関投資家の参入、ETF市場の成長、規制の明確化に左右される」と付け加えている。
GMI総流動性指数とビットコイン価格 Source: Raoul Pal
グローバル流動性指数との相関を考慮すると、ビットコイン価格は3月15日までに7万ドル付近まで調整する可能性がある。
しかし、供給される新たなマネーサプライを考慮すれば、2025年末までに13万2000ドルを超える可能性があると、リアル・ビジョンのチーフ・クリプトアナリスト、ジェイミー・クーツ氏は予測している。
M2マネーサプライとBTC. Source: Jamie Coutts
米国の貿易摩擦が市場に及ぼす影響
ビットコイン市場における流動性の増加は楽観的な要素である一方で、世界的な貿易関税の影響がビットコイン価格の上値を抑制する可能性があると指摘するのは、ベンチャーキャピタル企業DFGの創業者兼CEO、ジェームズ・ウォー氏だ。
「関税措置による報復措置がすでに市場に織り込まれているとする意見もあるが、関税の経済的影響は発表時点ではなく、時間差で現れる」
「輸入コストの上昇と企業利益率の低下により、インフレ圧力が高まり、中央銀行は引き続き高金利政策を維持せざるを得なくなる可能性がある」とウォー氏は付け加える。
この結果、流動性の引き締めが進み、ビットコインのようなリスク資産の短〜中期的な魅力が低下する可能性があると指摘している。
また、3月12日に欧州連合(EU)が報復関税を発表したことで、ビットコイン価格が短期的に7万5000ドルを下回る可能性があるとも指摘されている。これは、欧州が年間1.5兆ドル以上の米国輸出を占めているため、経済的な影響が大きいと考えられている。