大手仮想通貨(暗号資産)取引所バイナンス(Binance)は、マレーシア証券委員会によるライセンス未登録の事業体のリストに追加された。
規制当局によると、バイナンスは「SC(証券委員会)からの認可なしにマーケットを運営している」と指摘している。
マレーシアの規制では、証券委員会に「デジタル証券取引所」として登録する必要がある。最初の申請から、証券委員会の基準を満たすためには最大9ヶ月かかるとされている。
これまでのところ、Luno、Sinegy、Tokenizeの3つがデジタル資産取引所として、現地の規制当局から承認を得ている。
今回バイナンスは未登録の事業体としてリストされたが、今年3月にバイナンスは他の国に先駆けて、マレーシアで仮想通貨デビットカードの東南アジア展開のテストを行う予定であると発表していた。
記事執筆時点では、バイナンスはまだマレーシアの法定通貨リンギットをサポートしているようだ。マレーシアのリンギットは、今年3月にP2Pプラットフォームやモバイルアプリでリンギットのサポートを開始している。バイナンス側は今回の件についてコメントを拒否している。
規制当局との軋轢
バイナンスは、ほかの地域でも規制当局との間で軋轢があった。
ブラジルの証券監視機関が7月、バイナンスに対して同国内で仮想通貨デリバティブ取引サービスの提供を中止するように命じた。ブラジルの当局は、原資産に関係なくデリバティブ契約は証券業のライセンスが必要だとしている。
またマルタの金融規制当局のMFSAは今年2月、バイナンスが「MFSAによって承認を得ることなく、仮想通貨分野での業務を運営している」とする声明を発表した。MSFAはバイナンスが「マルタを拠点とする仮想通貨企業」とメディアで呼ばれているが、バイナンスはMFSAの監督下にあるわけではないと指摘している。
バイナンスは2018年に日本の金融庁から警告を受けてもいる。日本で無登録で仮想通貨交換業を行ったというのが理由だ。その後、バイナンスはマルタに拠点に移すと発表していた。
バイナンスが正式にはどこに拠点を置いてあるのかという問題は、これまでも指摘されてきた。昨年末、中国のバイナンスのオフィスが現地の当局に立ち入りを受けたという報道が出たが、その際にはバイナンスは次のように報道を否定している。
「バイナンスのチームはグローバルで動いており、分散型で働く人々で構成されている。上海どころか中国全体に固定のオフィスがないため、警察がオフィスを捜査したというのは明らかに誤りだ」
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン