米政府は9月29日、出資金詐欺として悪名高いワンコインを通じた約4億ドル(約433億円)の洗浄に関与したとされるマーク・スコット被告の裁判をめぐり、アイルランド銀行(BOI)の幹部ら4人に同国から有線テレビ経由で証言を求める文書を裁判所に提出した。
フィナンスフィードの報道によると、裁判は当初10月7日の予定だったが、11月4日に変更。公判前協議が10月28日に予定されている。
スコット被告は同行の複数の法人口座を保持しており、ワンコイン事件のプロセスで3億ドル(約325億円)超を洗浄したとされる。
今回証言を要請された対象の4人は、アイルランド銀行の現役幹部または元幹部だ。同行アンチマネーロンダリングチーム責任者のダイアン・サンズ氏、海外直接投資チームメンバーのデアドラ・カント氏、元エグゼクティブバイスプレジデントでリレーションディレクターのドレック・コリンズ氏、スコット容疑者の今回のマネーロンダリングへの関与に関する証拠を提供するとされるグレッグ・べグリー氏。
今回の裁判では、米政府は、スコット容疑者が2016年から2018年の間に4億ドル(約433億円)近くをワンコインから「フェネロファンド」として知られる英バージン諸島にある一連の未公開株式投資ファンドにケイマン諸島の複数の銀行口座で洗浄したとことを証明する意図がある。
ワンコインの首謀者の1人、コンスタンティン・イグナトフ氏は3月6日に米ロサンゼルスで詐欺の疑いで逮捕されている。
ワンコイン事件とは
2014年にブルガリアで設立されたワンコインは、仮想通貨を使った出資金詐欺(ポンジ・スキーム)を行っていた。
このワンコインは「ねずみ講」のようなシステムで、高配当をうたい投資する人間を集めていた。ワンコインは世界中から投資を集めており、2014年から16年にかけて、33億5300万ユーロ(約3960億円)を集めたとされる。
ワンコインに対する捜査は、米国、欧州、中国、豪州、シンガポールなど世界各国で進められていた。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版