今月17日、詐欺として物議をかもしていた「ワンコイン(OneCoin)」の事務所にブルガリアの法執行部門とEU犯罪対策部門による強制捜査が入った。これによりブルガリア首都ソフィアにあるサーバーは没収されたが、ワンコイン自体の運営は継続中だという。
強制捜査はドイツ北西部ビーレフェルト市の検察からの要請で行われた。ワンコインの創設者ルジャ・イグナトヴァ氏はブルガリア出身だがドイツ国籍を有するからだ。
ワンコインは「中央集権モデルを採用して会員資金の安全とアンチロンダリング関連法へのコンプライアンスを保証する」と宣伝されており、仮想通貨とはいえない。非集権性がないばかりかオープンソースのソフトでもなく、また公開された分散台帳もないためだ。
今回の強制捜査で、ワンコイン代理店であるブルガリア企業EOOD等14社が所有する書類やサーバーが没収された。また、50人以上が今回の捜査で証人として質疑をうけたが、逮捕者はまだ出ていないという。
ワンコインはアラブ首長国連邦で登記されているが、実際の運営は4大陸をまたいで数百社の関連企業を通して行われていた。今回これら英国、アイルランド、イタリア、米国、カナダ、ウクライナ、リトアニア、ラトヴィア、エストニア等に拠点を置く関連企業に捜査の手が及んだ。
これに先立って逮捕者も出ていた。昨年5月にはワンコイン関係者がカザフスタンにて詐欺で訴えられている。さらに、昨年7月にはインドでワンコインのねずみ講詐欺に関わったとして23人が逮捕。また、昨年8月にはイタリア独占禁止法及び消費者保護局がワンコインを出資金詐欺(ポンジ・スキームというねずみ講に似た仕組み)と認定し、250万ユーロの罰金を徴収した。
コインテレグラフでは2015年からワンコインを詐欺として紹介し、投資家に警戒するようよびかけていた。