仮想通貨ウォレットプロバイダーであるアトミックウォレットは、6月のハッキングに関する声明を発表したが、ユーザーからは依然として詳細な説明が求められている。一部では、損失額が1億ドルに達するとの見方もある

6月20日のブログ投稿によれば、アトミックウォレットは6月3日のハッキング以降、新たな被害が確認されていないと主張した。同社は、影響を受けたのはアプリユーザーの「0.1%未満」であると繰り返し強調している。アトミックウォレットは、6月5日に削除されたツイートで少なくとも一度、この主張を行っているが、オンライン上では依然として多くの人がこの数字に異議を唱えている。

アトミックウォレットは、ハッキングの原因となった具体的な要因を特定しておらず、ユーザーデバイスのウイルス、インフラへの侵害、中間者攻撃、マルウェアコードの注入など、4つの考えれる原因を挙げている。ただし、これらのシナリオのいずれも「大規模な侵害を引き起こす可能性があると確認されていない」とアトミックウォレットは述べており、「セキュリティインフラが更新された」と付け加えている。

また、アトミックウォレットは、セキュリティを強化するアプリのアップデートが「外部監査人」によって検証されていると述べている。

しかし、6月20日の声明に関しては、いくつかの疑問が浮上している。

サイバーセキュリティ企業ハッケンの元スマートコントラクト監査責任者であるエフゲニー・ベズフリ氏は、言及されている「外部監査人」が誰であり、ユーザーが彼らの声明をどこで見つけることができるのかと問いかけた

競合するウォレットプロバイダーであるゼンゴー(ZenGo)のオウリエル・オハヨンCEOは、アトミックウォレットがなぜセキュリティインフラをアップデートする必要があり、どのような事態が発生したのかと尋ねている

アトミックウォレットは、ユーザー資金の洗浄とミキシングが行われていることを確認しており、そのほとんどが追跡可能であると述べている。同社は、ブロックチェーン分析企業のチェイナリシスとクリスタル・ブロックチェーンの協力を得て調査を進めているとしている。

チェイナリシスは、アトミックウォレットに関連する作業や調査結果についてはコメントできないとコインテレグラフに述べた。コインテレグラフは、声明の内容に関してアトミックウォレットに詳細を求めた。また、クリスタルブロックチェーンにもアトミックウォレットに関連する調査結果についてコメントを求めている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン