仮想通貨ウォレット「アトミックウォレット」から3500万ドル(約48億円)が盗まれた事件で、犯人らが得た不正な資金が、北朝鮮のサイバーハッキンググループ「ラザルス」が頻繁に使用している仮想通貨ミキサーに移動していることがわかった。

ブロックチェーン分析会社エリプティックは6月5日、アトミックウォレットから盗まれた資金が仮想通貨ミキサー「Sinbad.io」に移動していることを調査チームが突き止めたと報告した。同社によれば、Sinbad.ioは、ラザルス・グループが盗んだ1億ドル以上の仮想通貨をマネーロンダリングするために以前から利用されていたという。

エリプティックはミキサーに送られた金額を明らかにしていないが、盗まれた資金がビットコイン(BTC)に交換され、ミキサーを通じて資金の流れが隠蔽されていると指摘している。

また同社はSinbad.ioが、ラザルス・グループの資金をマネーロンダリングするために多用された「Blender.io」という別のミキサーの改名版である可能性が高いと報告している。Blender.ioは、米財務省によって制裁対象とされた最初のミキサーだ。

6月3日、アトミックウォレットの複数のユーザーアカウントが不正アクセスを受け、最大3500万ドルの損失が発生した。ただし、同社はこの事件が月間アクティブユーザーの1%未満にすぎないと主張している

アトミックウォレットの最高マーケティング責任者(CMO)ローランド・セーデ氏は、コインテレグラフに対し、「チームは資金を取り戻すためにできる限りのことをしている」と述べた上で、「具体的な計画を立てるためには、調査が完了しなければならない」と付け加えた。

「もちろん、チームはショックを受けている。我々はセキュリティに非常に自信を持っていた。この危機を乗り越えて、以前よりも強くなるために24時間体制で取り組んでいる」とセーデ氏は語っている。

セーデ氏は、被害者が不正な送金を追跡し、最も人気のある仮想通貨取引所に報告することを提案している。これにより、「詐欺師が資金を交換するのを防ぐことができる」という。「もちろん、我々も直接報告しているが、ハッカーに目を光らせれば、資金の移動が難しくなる」と彼は語った。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン