数十億ドル規模の資産運用会社ARKインベストは、2030年末までにビットコイン(BTC)の価格が最大で240万ドルに到達するという強気予想を発表した。背景には、機関投資家の参入拡大と、ビットコインが「デジタル・ゴールド」として広く受け入れられつつあることがある。

4月24日に発表されたレポートで、ARKのリサーチアナリストであるデイビッド・プエル氏は、ビットコインの強気シナリオだけでなく、弱気および基準シナリオの価格予測もそれぞれ50万ドルと120万ドルに引き上げたと述べた。これは、2月11日時点で発表されていた30万ドルと71万ドルからの上方修正となる。

これらの価格予測は、ビットコインの総アドレス可能市場(TAM)、市場浸透率(TAMに対してビットコインが占める割合)、および供給スケジュールに基づいて算出されている。

プエル氏は「強気予想の最大の要因は機関投資家によるもので、ビットコインが200兆ドル規模の金融市場のうち6.5%に浸透する可能性がある」と述べている。

ARKの2030年末までの価格予測  Source: ARK Invest

また、ビットコインが「デジタル・ゴールド」として認知されるようになったことも、強気予想を後押しする重要な要素である。プエル氏は、ビットコインが2030年までに金市場の時価総額(2024年時点で18兆ドル)の最大60%を取り込む可能性があると試算している。

加えて、新興国市場における「安全資産」としてのビットコインの役割も強気予想における主要要因の1つとなっている。これが240万ドル予測のうち13.5%を占めるという。

「インフレや通貨の価値下落から資産を守る手段として、ビットコインは最も大きな資本蓄積の可能性を持つ」とプエル氏は述べた。

このほか、国家や企業によるビットコイン準備金戦略や、ビットコインを用いた金融サービスの発展も、ARKの予測モデルに組み込まれている。

ビットコイン価格目標に貢献するユースケース Source: ARK Invest

ARKの予測は野心的すぎるか?

仮にビットコインが240万ドルに達した場合、2030年末までに総供給量が2050万BTCに到達しているとすると、ビットコインの時価総額は49.2兆ドルにまで膨らむことになる。

この規模は、現在の米国と中国の国内総生産(GDP)を合計した額にほぼ匹敵するものであり、ビットコインが金(現在の時価総額は22.5兆ドル)を上回り、世界最大の資産クラスとなる可能性を示唆している。

仮にARKの弱気予想(50万ドル)や基準シナリオ予想(120万ドル)であっても、2030年末までにそれぞれ年平均32%および53%の複利成長が必要となる。このようなリターンは、すでに数兆ドル規模の評価額を持つ資産にとっては非常に稀だ。

なお、ビットコインは2025年に一時7万5160ドルまで下落したが、その後回復し、現在は9万4000ドル台に達している。加えて、トランプ政権が戦略的ビットコイン準備制度を確立したことも、今後の価格上昇を後押しする要素となり得る。

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