ビットコインマイニング企業アメリカン・ビットコインは5月12日、仮想通貨マイニング企業グリフォン・デジタル・マイニングとの合併を通じて株式公開すると発表した。
この契約の条件によれば、グリフォン・デジタル・マイニングが株式交換によりアメリカン・ビットコインを買収する。合併後の新会社はアメリカン・ビットコインのブランドで運営され、トランプ大統領の次男であるエリック・トランプ氏を含む取締役会の下で経営される。
この合併報道を受け、グリフォン・デジタル・マイニングの株価は急騰。5月9日時点の0.52ドルから、記事執筆時点では2.15ドルと、313%を超える上昇をみせた。
今回の発表に先立ち、4月上旬にはアメリカン・ビットコインが新規株式公開(IPO)を検討しているとの報道もあった。
アメリカン・ビットコインは、エネルギーインフラ、仮想通貨マイニング、データセンター事業を手がけるハット8の子会社だ。ハット8のアッシャー・ジェヌート最高経営責任者(CEO)は、「アメリカン・ビットコインをスケールメリットのある低コストなビットコイン蓄積専用のビークルにしたい」と述べた。
「アメリカン・ビットコインの上場により、ハット8のバランスシートとは独立したかたちで成長資本へ直接アクセスできると同時に、株主にとっては長期的なビットコイン上昇益へのエクスポージャーを維持することが可能になる」
株主構成と合併後の体制
発表によると、合併後の新会社の株式の約98%を、現アメリカン・ビットコインの株主が保有する見込みだ。取引完了後、新会社は発行済株式の大半を掌握することになる。
ハット8は、商業契約に基づき、引き続きアメリカン・ビットコインのインフラと業務の運営を担当する。これらの契約は、ハット8の電力およびデジタルインフラ部門にとって安定的かつ契約ベースの収益源になるという。
アメリカン・ビットコインとは?
アメリカン・ビットコインは、2024年3月末にハット8が過半数の株式を取得した企業で、当初は「アメリカン・データセンター」という社名だった。トランプ一族のドナルド・トランプ・ジュニア氏およびエリック・トランプ氏らが出資者として名を連ねている。
ハット8との取引成立後、アメリカン・ビットコインはハット8が保有していたビットコインマイニング装置の所有権を取得した。当時の発表では、「世界最大かつ最も効率的で純粋なビットコインマイニング企業を目指すとともに、戦略的なビットコイン準備資産を構築する」ことを掲げていた。