デジタル資産の世界的な飛び地になろうとするマルタの戦略は機能している一方で、規制の監督が甘いことから、マネーロンダリングへの懸念が生じている。

タイムズ・オブ・マルタの20日の報道によると、マルタが2017年に初めて「ブロックチェーン・アイランド」戦略を採用して以来、およそ710億ドル相当の仮想通貨がマルタを経由したという。マルタは近年、仮想通貨に特化した規制を整備してきたが、金融活動作業部会(FATF)は、マルタのアンチマネーロンダリング体制に懸念を示している。

FATFは先週、パリで会合を開き、マルタを金融犯罪を阻止する義務を怠った国のリストに載せるべきかどうかを議論した。特にマルタが2017年と2018年に仮想通貨の規制が不十分だった際に、仮想通貨を受け入れようとしたことを懸念。同国の法執行体制についても問題があるとしている。

マルタがブロックチェーンや仮想通貨を優遇していることから、2018年には大手仮想通貨取引所であるバイナンスを含む複数のブロックチェーン企業がマルタに拠点を移した。同国に進出した企業は、最大で1年間、ライセンスなしでの運営が認められた。ある業界関係者は、1年間の猶予期間によって、「無免許の仮想通貨取引所が行う高リスクの取引が爆発的に増えた」とタイムズ・オブ・マルタに語った。

それでも、マルタは仮想通貨企業にとって有利な地域だろう。既報のように、クリプト・ドットコムは最近、マルタの「クラス3仮想金融資産ライセンス」を取得し、EUでの仮想通貨普及に向けて貢献している。

2020年6月にマルタはブロックチェーン・アイランドからの脱却を目指し、デジタル経済全般に注力することを明らかにした。マルタの経済的ポートフォリオの多様化と強化を任務とした諮問機関であるデジタル・エコノミー・シンク・タンクの会長を務めるキーロン・ブルーノ氏は、コインテレグラフに「私たちはブロックチェーンの島であることから離れ、デジタルの島になろうとしている。」と述べた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン