中国と欧州による金融刺激策が強まり、米ドル指数(DXY)の下落が続く中で、ビットコイン(BTC)の価格は8万5000ドルまで反発している。4月に入りS&P500指数が5.7%下落する一方で、ビットコインは貿易戦争による急落から14%の上昇を見せた。強気派の投資家たちは慎重な楽観ムードの中で、今後9万ドルを超える上昇の可能性を見込んでいる。
複数の指標や市場イベントは、ビットコインが伝統的な金融商品とは異なる動きを示す「デカップリング」の兆候を裏付けている。ただし、金価格が過去最高の3358ドルを付ける一方で、ビットコインがそれに追随できていない点を疑問視する声もある。
米国経済の減速と世界的な金融緩和
米連邦準備制度理事会(FRB)は、いまだ利下げやバランスシート拡大に踏み切っていないが、他国ではすでに緩和策が進められており、米国経済への圧力が高まっている。
中国では3月の新規銀行融資額が予想を大きく上回る5000億ドルとなり、前月から大きく回復した。ロイターによると、中国人民銀行(PBOC)は米中貿易戦争の影響を和らげるため、追加の刺激策を講じる意向を示している。
欧州では、欧州中央銀行(ECB)が4月17日に過去1年で7度目となる利下げを実施し、資本コストは2022年末以来の低水準となった。複数の投資銀行はユーロ圏のインフレ見通しを下方修正しており、関税戦争によって域内総生産(GDP)は0.5%減少する可能性があると指摘されている。
米ドルの下落とマイナーの堅調姿勢
米ドル指数(DXY)は過去3年で最も低い水準に落ち込んでおり、これは米FRBの金融引き締め政策に対する見直し圧力を強めている。ドル安は通常、輸出の追い風となり経常収支を改善させるが、貿易戦争の中ではその恩恵も長続きしない見通しだ。
米国の通貨・財政政策への信頼も揺らいでおり、トランプ大統領はパウエルFRB議長の政策を公然と批判。「パウエルの解任は一刻も早く行われるべき」と発言し、利下げの必要性を訴えた。
一方で、米労働市場は堅調だ。米労働省によれば、4月12日までの1週間における新規失業保険申請件数は21万5000件と、前週比9000件の減少となった。パウエル議長も4月16日に「労働市場は堅調な状態にある」と述べている。
ビットコインのハッシュレートは前月比8%増と上昇を見せており、マイナーの長期的な姿勢が強気であることを示している。2024年4月の半減期以降、報酬の減少によってマイナーの撤退や大量売却が懸念されていたが、グラスノードのデータによればマイナーは現在も約180万BTCを保有しているとされる。
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