XRP発行元であるリップルが手がけるステーブルコイン「リップルUSD(RLUSD)」は、当初企業向けを掲げていたが、現在では個人ユーザーの間でも存在感を強めている。

リップルは2024年末にRLUSDを正式発表しており、同社CEOであるブラッド・ガーリングハウス氏はその際、「企業用途に特化したステーブルコイン」であると強調し、主に個人向けに展開する他社製品との差別化を図っていた。

しかし現在では、Xamanのような自己管理型ウォレットでの利用が広がり、Transakなどのプラットフォーム統合も進んでおり、RLUSDの用途は企業領域を越えつつある。

XRPLラボおよびXamanの最高執行責任者はコインテレグラフに対し次のように語った。

「RLUSDはたしかに、XRPLのスピードやコスト効率、即時確定性といった強みに基づき、企業向けとして立ち上げられた可能性が高いが、今や個人利用の分野でも明確に浸透が進んでいる」

RLUSDの企業特化路線を巡る議論

RLUSDに関する最初の構想は、2024年12月の正式発表より前に出回っており、同年10月の時点でガーリングハウス氏はRLUSDを「企業グレードのステーブルコインのゴールドスタンダード」と表現していた

リップルの最高技術責任者であるデイビッド・シュワルツ氏も当初、「RLUSDはおそらく機関投資家にしか提供されない」と示唆しており、企業専用となる可能性を巡って議論を呼んでいた

2024年12月16日にリップルがRLUSDを正式発表した際も、個人向けの用途については一切言及されてなかったが、アップホールド、ビットソ―、ムーンペイなど主要プラットフォームでの提供開始が強調されていた。

RLUSDはサークルのUSDCと直接競合

Transakのマーケティング責任者であるハルシット・ガングワル氏は先週コインテレグラフの取材に対し、「RLUSDは確かに企業グレードの利便性を念頭に設計されている」と述べた。

その上で、「しかし発行および償還のインフラは、機関投資家・個人いずれのアクセスにも対応している」と補足している。

ヒューマ・ファイナンスの共同創業者であるエルビル・カラマン氏は、RLUSDは今や「一般用途のステーブルコインとして機能しており、サークルのUSDCとあらゆる市場で直接競合している」と述べる。

「この進化が示すのは1つのシンプルな事実だ。重要なのは誰がステーブルコインを発行するかや、最初に何を目的として宣伝されるかではない。本当に重要なのは、実際に何に使われるかであり、それが明らかになるのはローンチ後だ」

RLUSDの大半はイーサリアム上で発行されるが、利用者はXRPLを選好

RLUSDの利用状況について、XRPLラボのキウル氏は、イーサリアム上での発行量とXRPレジャー(XRPL)での実際の利用者数との間にギャップがあると指摘する。

RWA.xyzのデータによると、RLUSDの発行総額5億5700万ドルのうち88%がイーサリアム上で発行されており、XRPLによる発行は12%未満にとどまっている。

しかし、RLUSDの保有者の大多数、すなわち全3万4160ユーザーのうち90%以上がXRPL上で活動しており、イーサリアム上のユーザーは約10%にすぎないとキウル氏は語った。この数字は、コミュニティ内の著名メンバーであるVet氏が6月20日にXに投稿したデータに基づいている。

RLUSDのネットワーク別時価総額 Source: RWA.xyz

「リップルは今でも企業用途としてプロモーションを展開していると思う。というのも、XRPLはそもそも企業向けチェーンとして設計されており、そのスピードも企業向きだからだ」とキウル氏は語り、次のように続けた。

「ただし、それが個人に使われるようになったことは大きな成果だ。XRPLとRLUSDの立ち位置が企業向けから離れているとは思っていない」

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