世界経済フォーラムの最新リポートによると、世界の何十もの中央銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)開発に向けて取り組みを開始している。

WEFは2019年1月の国際決済銀行(BIS)の報告書を引用し、世界の少なくとも40の中央銀行が、金融統合、支払い効率化およびサイバーセキュリティなどの問題に取り組むためにブロックチェーン技術を用いた研究プロジェクトおよび実験を行っているとした。

リポートでは、分散型台帳技術(DLT)で発行され、ピアツーピア方式で取引できるCBDCについて、より速くよりコスト効率の高い取引を可能にするとした。またその上で最も注目すべき利点として、KYC(顧客認証)およびAML(マネーロンダリング対策)手続きを改善し、脱税、汚職などの不正行為を減らし、個人向け預金における商業銀行の寡占を崩すなどの可能性をあげ、民間のペイメント技術を代替する可能性を秘めるとしている。 

リポートはCBDCが使用される背景について以下のように示している。

現金使用量が劇的に減少する将来において、CBDCは潜在的に重要な役割を果たすことが期待される。国や国民が望むかどうかにかかわらず、国内での現金使用もしくは使用可能性が、極端に低くなる、あるいは無くなった場合、CBDCは国民にとって有用となる可能性を持つ。」

一方リポートは、CBDCの考えられる欠点もまとめている。取引のスケーラビリティ(システムの処理速度やデータ蓄積における拡張性)、鍵の管理、取引速度に課題がある点や、デジタル決済システムを使えない人々の存在や銀行システムの混乱による財政安定性へのリスク、CBDCを使用しない人々を金融的に排除してしまう可能性を検討すべきだとしている。

WEFは、銀行間証券決済、債券発行およびライフサイクル管理、ならびに現金マネーサプライチェーンの開発など中央銀行における分散型台帳技術の10の実用例を紹介している。

翻訳 ロシアンOLちゃん
14歳の時に来日してから日本が好きになり、日本語の勉強を始める。大学卒業後、商社、PEファンドなどを経て、現在ではブロックチェーン産業に携わり、SNSでロシアや欧州のブロックチェーン、クリプト情報を発信している。

編集 コインテレグラフ日本版
原文 WEF Report: 40 Central Banks Are Considering Digital Currencies, Blockchain Tech