22年は仮想通貨業界にとって困難な年となり、厳しい市場状況はブロックチェーンと仮想通貨の活動へのベンチャーキャピタル(VC)の資金調達の減少傾向に反映された。

ブロックデータ(Blockdata)のレポートによると、21年を通して幅広いWeb3分野へのVCの資金調達が増加した後、22年は全四半期を通して資金調達が連続して減少したことが明らかになった。

CBインサイツ(CB Insights)のデータを分析したブロックデータは、22年の最終四半期のVC資金調達額について、同年第3四半期から34%減少したことを指摘した。同年の最終四半期は、第1四半期と第2四半期から資金調達額が大幅に減少し、それぞれと比べて67%と53%の減少となった。

Data source: Blockdata/CB Insights

その後のVC投資の落ち込みについては、過去最高を記録した22年の最初の4カ月の累積692件の取引による投資額110億ドルから毎四半期減少している。

ブロックデータは、昨年の仮想通貨およびブロックチェーン関連のVC資金調達の減少について、いくつかの要因を指摘している。22年5月のテラエコシステムの600億ドル規模の破綻がその引き金となった出来事として取り上げられており、それはその後の仮想通貨融資会社スリー・アローズ・キャピタルとセルシウスの倒産につながった。

22年11月のFTXの崩壊は、業界全体のボラティリティ(変動性)にさらに影響を与え、金利上昇とインフレの影響を受けた資本市場における世界のマクロ経済状況もベンチャーキャピタリストからの投資の減少に一役買った。

その結果、22年第4四半期のVCからの資金調達額はわずか37億ドルとなり、21年第4四半期のVCからの投資額96億ドルから61%も減少した。ブロックチェーンと仮想通貨のスタートアップ企業が受け取った資金総額は前年比11%減で、320億ドルから290億ドルに減少した。

ブロックデータは、22年の取引高が21年比で35%増加したことをポジティブな材料として取り上げている。同社は、VCからの資金提供は減速しているものの、投資家は依然としてブロックチェーンに基づく技術やアプリケーション、スタートアップへの出資に目を向けていることを示唆している。

また同レポートは、VC投資は、クロスブロックチェーンブリッジ、決済・送金、融資、分散型自律組織(DAO)、資産管理、デジタルID管理などの「ボラティリティが低いイノベーション」にシフトしつつあると指摘している。

第4四半期には、依然としていくつかの大規模なVC投資が行われた。アンバーグループ(Amber Group)は、FTX騒動の影響を受けた特定商品の価値下落に対処するため、22年12月にシリーズCラウンドで最高額となる3億ドルを調達した。

第4四半期には、9件の「ブロックチェーン・メガラウンド(企業が一度に1億ドル以上の資金を調達するラウンド)」が実施された。昨年の第4四半期にユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)入りしたのはユニスワップ(Uniswap)とセレスティア(Celestia)だけで、それぞれ17億ドルと10億ドルの評価額を得た。