米国証券取引委員会(SEC)のジェイ・クレイトン委員長は、トークンを使った資金調達イニシャル・コイン・オファリング(ICO)について、「効率が良い資金調達手段になりうる」と認めつつも「証券法は守られなければならない」と釘を刺した。11月中旬から始まった仮想通貨急落の一因として、SECによるICOの取り締まり強化があげられている。
クレイトン氏は、先週に行われた講演の中で、2018年のSECの歩みを振り返るとともに2019年の計画について私見を披露。その中でICOについて次のように述べた。
「ICOが起業家などにとって資金調達をする上で効率的な手段になりうると信じている。しかし、いくらICOが新しい技術の産物であるといっても、証券が提供されれば、証券法が適用されなければならないという根本的な点は変わらない」
またクレイトン氏は、2018年にSECの委員とスタッフは、「かなりの時間」を分散型技術やデジタル資産、ICO関連で使ったと指摘。この領域での懸念点について、次のようにまとめた。
「伝統的な株や債券市場と比べて、投資家保護がかなりおざなりになっている。その結果、詐欺や価格操縦をする機会が多くなっている」
SECは先月、トークンセールの登録を怠ったとして、2つのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に「初めて」民事罰を科した。このことが投資家心理を冷やし、11月中旬から始まった仮想通貨相場の暴落につながったという見方が出ている。
ただ、一部の米議員はICOの取り締まり強化に難色を示している。
共和党でオハイオ州選出のウォーレン・デービッドソン議員は先月、ICOを証券法の適用外にする法案を提出する計画であることを明かした。また同議員は12月、トークンが証券と分類されることを妨ぐ一方、連邦政府によるICOの効果的な規制を目指す計画を持っていると報じられた。
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