米国司法省の関係者は、バイナンスのCEOであるチャンポン・ジャオ氏(通称CZ)が、同取引所との犯罪および民事訴訟に関する和解の一環として、銀行秘密法違反で有罪を認めることを発表した。
11月21日の記者会見で、メリック・ガーランド司法長官は、CZ氏が米国外に居住しているにもかかわらず、米連邦裁判所で直接有罪を認めたことを発表した。ガーランド司法長官はまた、バイナンスとCZ氏との間で43億ドルを支払う和解が行われ、米財務省や商品先物取引委員会(CFTC)を含む政府機関による「民事規制執行措置」を対象とすることを付け加えた。
ガーランド司法長官によると、バイナンスの方針により、不正な活動に関わる犯罪者たちがバイナンスを通じて「盗まれた資金」を移動するを可能にしていた。司法長官は、バイナンスが不正資金と関連がある特定のユーザーに対してアクセスすることで、米国連邦法に「従うふり」をしていたと主張した。司法長官は、バイナンスは監視および報告要件の対象となり、過去の取引に関する疑わしい活動の報告を提出する必要があると述べた。
「バイナンスは、アメリカ国民の安全よりも利益を優先した」とガーランド氏は述べた。「新技術を使って法律を破ることは、あなたを破壊者ではなく犯罪者にする。」

ガーランド氏に続いて、ジャネット・イエレン財務長官は、バイナンスが和解の一環として金融犯罪執行ネットワーク(FinCEN)に34億ドル、財務省の外国資産管理局(OFAC)に約10億ドルを支払うことになったと述べた。さらにCFTCのロスティン・ベーナム委員長によると、今回の和解では、バイナンスは民事罰金27億ドル、CZは1億5000万ドル、サミュエル・リン元コンプライアンス部長は150万ドルを支払うことになる。
バイナンスは11月21日のブログ投稿で、米国当局との和解に至ったことを「喜んでいる」と述べ、取引所は 「ユーザーのセキュリティと安全性というコアバリューを守ることに妥協はない」と主張した。CZ氏はX(旧ツイッター)で自身がCEOを退任し、バイナンスの地域市場グローバル責任者であるリチャード・テン氏が就任すると発表した。
「私は過ちを犯した。責任を取らなければならない。これは私たちのコミュニティにとっても、バイナンスにとっても、そして私自身にとっても最善の選択だ」と語っている。
11月14日に封印されて提出されたCZ氏に対する起訴状によると、バイナンスのCEOは、バイナンスで効果的なマネーロンダリング防止プログラムを維持することに失敗し、銀行秘密法に違反した罪に直面していた。11月14日から11月21日まで、バイナンスとCZ氏に対する訴訟に関する裁判記録は、両当事者の合意に基づく検察官の申し立てにより封印されていた。
米国当局とバイナンス間の和解は、数ヶ月にわたる同取引所に対する多くの民事および犯罪捜査をほぼ終結させた。ただバイナンス、バイナンス.US、CZ氏が6月に証券法違反で起訴された米証券取引委員会(SEC)との未解決の民事訴訟が依然として残っている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン