米財務省の外国資産管理局(OFAC)は、大規模な国際犯罪組織と関係があるとされる仮想通貨ウォレットを制裁リストに追加した。

9月26日の発表で、米財務省はシナロア・カルテルと関連の深い10人を特別指定国民(SDN)リストの対象にしたと述べた。特別指定国民リストに追加されたのは、イーサリアムウォレットを通じて違法取引を行っていたメキシコ国籍のマリオ・アルベルト・ヒメネス・カストロ氏も含まれている。

財務省は、「ヒメネス・カストロは、仮想通貨や電信送金などを利用して、米国での違法フェンタニル販売の収益をメキシコのシナロア・カルテルのリーダーに送金するマネーロンダリング組織を運営している」と指摘する。

また「ヒメネス・カストロは、米国内で現金を集め、それを各種の仮想通貨ウォレットに預け、直接組織に支払い、フェンタニルの生産に再投資するよう、米国に拠点を置く運び屋に指示を出している」とも付け加えた。

Etherscanのデータによれば、このウォレットの残高は約0.018ETHで、最新の活動は200日以上前だった。OFACの最新の制裁には他のウォレットアドレスは含まれておらず、これは米国内の「違法フェンタニル取引」への対応だと財務省は述べている。

「今回のの行動は、財務省と行政当局が、国際的な安全保障を脅かし、我々の地域社会にフェンタニルや他の致命的な薬物を氾濫させる犯罪組織を絶えず狙い続けることを示している」と、テロ・金融情報担当の財務次官であるブライアン・ネルソン氏は語った。

OFACは過去に北朝鮮のラザルス・グループと関連のある個人に対して制裁を行っている。また米財務省はラザルスを理由の1つとして、仮想通貨ミキサーのトルネード・キャッシュを2022年8月の制裁リストに追加した。さらに米当局は、マネーロンダリングと制裁違反の罪でトルネード・キャッシュの共同創設者ローマン・ストーム氏を8月に逮捕した

トルネード・キャッシュに対する財務省の行動には、業界のリーダーや政策立案者から批判が寄せられた。仮想通貨取引所コインベースの支援を受けたグループが財務省に対して訴訟を起こしたが、8月に裁判官は大部分で米政府の主張を支持する判断を下している

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン