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【年末年始特集】トランプ、関税、ユーティリティトークン|アニモカのヤット・シウ氏「仮想通貨はいよいよ大人になる必要がある」

【年末年始特集】トランプ、関税、ユーティリティトークン|アニモカのヤット・シウ氏「仮想通貨はいよいよ大人になる必要がある」
年始スペシャル

アニモカ・ブランズ共同創業者のヤット・シウ氏にとって、2025年は「トランプの年」として記憶されるだろう。それは、米国大統領のドナルド・トランプ氏が仮想通貨を救ったからではなく、業界が同氏に過度に賭け、関税から利下げまであらゆるものを誤って織り込んだからだ。

トランプ氏は2025年の仮想通貨にとっての切り札になるはずだった。ところが実際には、ビットコイン(BTC)は年末に向けて低迷し、史上4度目となる年間下落に直面している。ミームコインの流動性は政治的な寄り道に吸い取られ、この分野で最も長く活動してきたビルダーの一人は、市場が新大統領を過信したと考えている。

Bitcoin’s 2025 performance. Source: CoinMarketCap

「成績を付けるなら、BマイナスかCプラスでしょう」とシウ氏は述べた。トレーダーは、仮想通貨がトランプ氏にとって最優先事項であるかのように受け止めていたが、実際にはその優先順位は高くなかった。

トランプ氏の優先事項(関税、貿易戦争、連邦準備制度理事会を巡る対立)はリスク資産を直撃した。大統領が関税戦争を始める際、「ビットコインの価格がどうなるかなど考えていない」とシウ氏は指摘する。

仮想通貨の「トランプ・トレード」は2025年には機能せず、2026年にはコンプライアンスと実需への注力を余儀なくされるという。アニモカが計画するリバースマージャーによる上場は、米国の規制が明確になれば、公開市場の投資家が「アルトコインへの代理銘柄」を求めるようになると、同氏は見込んでいる。

アニモカのIPOとアルトコインの代理銘柄

2025年がトランプの年だったのなら、アニモカは2026年を、公開市場がついに流動性のあるアルトコイン代理銘柄を手にする年にしたい考えだ。同社は、ナスダック上場のフィンテック企業であるカレンシー・グループとのリバースマージャーを通じて上場する計画で、統合後の企業の95%をアニモカが保有する条件となる。「形式的には向こうが我々を買う形だが、実際には我々が支配する」とシウ氏は述べた。

狙いは明快だ。マイクロストラテジーはビットコインへのエクスポージャーを得るためのレバレッジ型上場商品になったが、トークンの裾野全体に対応する同等の存在はない。「投資家として仮想通貨に触れたいなら、ビットコインは必要だ。その上で、アルトコインの広がりがあり、どうやってそこにアクセスするのかという問題がある」。

イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)のようなベースレイヤートークンを買っても、得られるのは限定的なアクセスにとどまる。アニモカは、ソフトバンクのように多数の企業やプロジェクトに投資する上場企業として、アルトコインやWeb3分野全体の成長をまとめて取り込み、株式市場の投資家がそれに間接的に投資できる形を目指している。

同社は620社超のポートフォリオ企業を持ち、昨年だけで約100件の新規プロジェクトに投資したという。いずれも自社のバランスシート外で行われている。2024年度には、未監査ベースで3億1,400万ドルのブッキングを計上し、4年連続でEBITDAベースで黒字を確保した。

Animoca Brands investment thesis. Source: Animoca Brands

将来的にシウ氏は、アニモカ自体が完全にトークン化され、伝統的な株式市場とオンチェーン所有を結ぶ架け橋になると見込んでいる。

明確化、GENIUS法、そして「トークン化するか死ぬか」の瞬間

アルトコイン代理銘柄としてのIPOに賭けるシウ氏の戦略は、規制の地盤が固まれば理にかなう。同氏は、米国の主要法案であるCLARITY法とGENIUS法を、存亡を左右するものではなく、触媒と捉えている。

「我々がよく使う言葉は『トークン化するか死ぬか』だ」と同氏は語る。発行、取引、監督に関する明確な枠組みが整えば、既存企業の参入が一気に進むとみている。「仮想通貨企業はギリギリを攻めることに慣れているが、上場・非上場を問わず既存企業なら、なぜそのリスクを取るのか」。

同氏は、ワシントンでステーブルコインのルールが固まった途端、長年の逡巡を経て「誰もがステーブルコインに取り組み始めた」状況を引き合いに出す。CLARITY法がトークン分類と市場構造のルールを来年正式化すれば、同じ流れが起きると予想する。

既存の発行体は、以前にはなかった「法的確実性」を得て、自社事業に紐づくトークンを発行するようになるという。

ここで橋渡し役となるのが、RWA(現実世界資産)やトークン化証券だ。2030年までに数兆ドル規模に成長すると見込まれる分野であり、アニモカはすでに、中国の大手資産運用会社であるグロウとの提携を含め、トークン化や伝統的顧客向けのトークン市場アクセスに関する取り組みを始めている。

2026年はユーティリティトークンの年

シウ氏は、次のテーマ転換はすでに整っているとみる。「仮想通貨が機関投資家の領域に入る流れは続く」が、2026年は「新しい個人投資家」が、より明確なルールの下、投機ではなく利用を中心に設計された商品を通じて参入する年になるという。

これまでは、とりわけミームコインのシーズンで顕著だったが、既存の仮想通貨トレーダーに焦点が当たり、ポンプ・ドット・ファンのようなプラットフォームでトークンやミームコインを立ち上げることに注力してきた。

その環境では、顧客がどこから来るかを気にせず、プロダクトより物語性を重視してトークンを発行できた。しかし、市場環境の変化がリセットを迫っている。

「ミームコイン狂騒」は、年初にトランプ氏とメラニア・トランプ氏の名を冠したトークンで頂点に達した。オフィシャル・トランプ(TRUMP)は高値から75%超下落し、メラニア・ミーム(MELANIA)も高値から約90%下落。数十万の小口ウォレットが損失を抱えた。

シウ氏はこれを「ミームコミュニティに対する強烈な吸血攻撃」と表現し、多くのリテールを焼き尽くし、他の市場から流動性を吸い上げたと述べる。

純粋な投機から資金が回転するにつれ、次の波は、ゲーマー、クリエイター、ブランドにとって現実の課題を解決するプロダクトにかかっている。仮想通貨に関わっているという意識を持たない一般の利用者を取り込めるかが鍵になる。

CLARITY法とGENIUS法が準拠した発行への道筋を示す中、「2026年はユーティリティトークンの年になる。誰もが使い道のあるトークンを発行し、それについて語れるようになる」と同氏は主張する。

つまり、仮想通貨企業は「大人になる(これまでの未成熟なやり方をやめ、通常の事業体として振る舞う必要がある)」ということだろうか?。

「そうならざるを得ない。そうならざるを得ない……IPOに向かうのは我々だけではない」。

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