仮想通貨業界は、トランプ大統領のアンチ仮想通貨発言を前向きに消化したようだ。

「トランプ・パンプ(Trump Pump)」によってビットコインが上昇したという見方が欧米のメディアやアナリストの間で相次いでいる。執筆時点(7月13日午前9時)までの24時間でビットコインは4%以上も上昇。1万1800ドル付近で推移している。また、大方の予想通り、ビットポイントの不正流出事件による影響も限定的だ

(出典:Coin360「ビットコイン/米ドル(1日)」)

トランプ大統領は12日、一連のツイートの中で「ビットコインのファンではない」「リブラは頼り甲斐がない」などと発言。そのまま受け通ればネガティブ発言だが、仮想通貨業界ではポジティブな捉え方が相次いだ。

「大統領はたった今、無意識のうちにビットコインに対する過去最大の広告を出した」

eToroのマティ・グリーンスパン氏は、クライアント向けのメモの中で上記のように分析した。

同氏は、トランプ大統領のターゲットはフェイスブックのリブラだったようだと指摘。銀行免許をとって他の銀行と同じように規制されなければならないなどといった発言は、「リブラにとっては大きな打撃となるが、ビットコインにとっては打撃とならない」とみている。

「リブラは政府や企業によってコントロールされる。ビットコインはコントロールされない。リブラがまるで水の中で死んだ魚のようになる一方で、ビットコインの本当の価値が世界の聴衆の前で明らかになったのだ」

リブラのホワイトペーパー発表以来、多くのアナリストはリブラによって仮想通貨の認知度が上がることを期待し、その結果としてビットコインが上昇するだろうとみていた。

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また、米仮想通貨資産マネジメントのアンソニー・ポンプリアーノ(通称ポンプ)氏は、CNBCに出演し「10年半ほど前、米国の大統領が魔法のインターネットマネーについてツイートする日が来るなんて、誰が想像できただろうか」と発言。人間ではなくアルゴリズムを信頼する流れがきていると述べた。

この他にも仮想通貨業界からはトランプ発言に対してポジティブな捉え方が出ている。

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