フェイスブックの仮想通貨リブラはビットコインにとって脅威ではなく追い風になるという見方が相次いでいる。
フェイスブックがリブラのホワイトペーパーを発表してから半日以上が経過した現在、ビットコインは小幅な値動き。24時間前と比べて1.5%マイナスの9154ドルで推移している(執筆時間は6月19日午前11時)。
(出典:TradingView「ビットコイン/米ドル(1日)」)
多くの仮想通貨アナリストは、リブラを歓迎している。
仮想通貨投資家のWhale pandaは「リブラについて読んだあと、ビットコインに対してますます強気になったよ」と話した。
フェイスブックは、「世界に17億人いると言われている銀行口座を持たない人々」をターゲットにクロスボーダー(国をまたいだ)市場に焦点を当てている。ビットコインにもそうした「支払い手段」としての機能が期待されていないわけではないが、デジタルゴールド、つまり資産の逃避先としての機能やプライバシーの保護に対する機能こそビットコインの醍醐味と見る人は多い。
また、同じく仮想通貨アナリストのジョセフ・ヤングは、リブラのホワイトペーパーが「仮想通貨(暗号通貨)」という言葉を使い、非許可型のパブリックブロックチェーンへの移行を明記したことが重要と指摘。ビットコインを含む仮想通貨業界全体の正当性を担保するものとみている。
一方、「リブラはビットコインにとって競合相手にならないどころかビットコインを補完する役割を果たす」とみるのがファンドストラット代表のトム・リー氏だ。
リー氏は、CNBCのインタビューに答えて、フェイスブックの発表は「主流派の企業が仮想通貨に本格的に取り組む」ことを示しており、仮想通貨業界に対する「完璧な正当化だ」と指摘。「ビットコインじゃないけどブロックチェーンを信じている」と言った論法を「完全に破壊するだろう」と述べた。
さらにリー氏は、リブラは新たな銀行システムの構築を目指しステーブルコインをターゲットにしていると指摘する一方、「ビットコインにとってはかなり補完的な機能を持つ」と分析。既存のステーブルコインや分散型ファイナンスの開発者にとっては「本当に気の毒な話」と述べた。
ステーブルコインとビットコインの補完性に関しては、例えば機関投資家がOTC(店頭)取引をする際に法定通貨連動のステーブルコインとビットコインのスワップを重宝するという見方がある。
バイナンスは、リブラがドル、ポンド、ユーロ、円のバスケットに連動するステーブルコインになる見込みというレポートを発表した。