米SECは17日、人気トレーディングアプリを運営するロビンフッド・フィナンシャルを提訴したと発表した。ロビンフッドが顧客からの注文情報について、HFT(高速取引業者)に販売していたにも関わらず、情報を開示していなかったことなど、複数回にわたり虚偽の報告を行ったとしている。ロビンフッドは制裁金の6500万ドル(約70億円)を支払うことに合意している。

SECによると、2015年から2018年にかけて、ウェブサイト上のQ&Aを含むユーザーとのコミュニケーションで誤解を招くような記述をしたと指摘した。

「ロビンフッドの重要な虚偽表示と怠慢は、収益に関連している。特に顧客のオーダーを電子マーケットメーカーとして知られる取引企業に送付した際の領収書などが開示されていなかった」

ロビンフッドは顧客に対し「手数料無料」としている。その代わりに「ペイメント・フォー・オーダー・フロー」という仕組みで顧客の注文をHFTに送り、その手数料収入を得ている。

SECの主張の元となっている取引所法では、このようにロビンフッドなどのブローカー・ディーラーが取引所を通じて注文を支持することに対して報酬を得ること自体は禁止していない。しかし、SECはロビンフッドがHFTを介すことで、顧客は知らされないままに他の証券会社よりも低い価格で取引を強要されたと、SECは主張した。

これによりロビンフッドの顧客は3410万ドル分の利益を逃したという。


ロビンフッドの法務担当者であるダン・ギャラガー氏はコインテレグラフに対し、次のように説明している。

「和解は過去の事例に関するもので、現在のロビンフッドを表したものではない。我々は何百人もの投資家を支援したことに関する責任を認識しており、顧客のニーズを満たすために成長し続ける」

マサチューセッツでも提訴

さらに米マサチューセッツ州の規制当局も16日にロビンフッドを提訴した。投資家保護の州法に違反していると主張している。

ロビンフッドは新型コロナウイルスの中で、「手数料無料」をうたい、若者を中心に人気が拡大。2021年に新規株式公開(IPO)を進めている。