「各トークンを1USドルと裏付けできる十分な現金準備を保有している」というテザー(USDT)の主張が正しかったと確認されたようだ。ブルームバーグが20日に関係者の話として報じた。ただ今回の調査は正式な監査という形をとっておらず、「4大監査法人が仮想通貨関連の顧客を受けつけない」中、テザーの主張の正当性をめぐってまだ議論は続きそうだ。

 テザーの顧問弁護士スチュワート・ホーグナー氏によると、法律事務所フリー・スポーキン&サリバン(FSS)が数週間にわたってテザーの2つの銀行口座にアクセスし、6月1日時点で十分なドルを準備しているのを確認したという。FFSが出した声明によると、6月1日時点でテザーの2つの銀行口座にあった資金の総額は、約25億4500万ドル。これに対して同じ日のテザーの供給額は、約25億3800万ドルだったとされる。FFSは次のように結論づけた。

「FSSは、2018年の6月1日時点でテザーの無担保資産がドルに完全に裏付けられたテザーの供給量を上回っていたことを自信を持っている」

 ただFSSは、この調査がオフィシャルな監査ではないことを強調した。

 「FSSは、監査法人でない。このため今回の調査は会計基準のGAAPに基づいていない。口座に関して銀行員が相応の権限を持って情報を提示したという想定に基づいていて、これに関してさらなる調査を行うことはない」

 なぜ正式な監査が行われないかについてホーグナー氏は、ブルームバーグに対して、監査法人大手は仮想通貨関連の顧客を取っていないと説明した。

「監査をしてもらえないのが現状だ。4大監査法人は、そんなリスクを取りたがらない」

 2017年12月には、テザーと仮想通貨取引所のビットフィニックスが米規制当局から召喚状を受け取ったと報じられた。召喚状の中身は明らかになっていない。一方、テザーは、プエルトリコの銀行に十分なドル資金を持っている可能性があるという調査結果をビットフィニックスが2月に発表。3月にはテザーが新たに2億5000万ドル(約277億円)分の新しいUSDTトークンを発行したことから、本当にドルに裏付けられているのかどうかが再び議論になった。そんな中、テキサス大のグリフィン教授らが昨年末のビットコイン価格の急騰は、テザーによる価格操作とする論文を発表した。これに対してテザーのバンデルベルデCEOは、ブルームバークに対して「真実ではない」と否定した。