SWFIT(国際銀行間金融通信協会)のグローバルバンキング部門トップであるウィム・レイメーカーズ氏が、クロスボーダー(国をまたいだ)送金におけるブロックチェーンの課題について指摘し、自社が開発したGPI(グローバル・ペイメント・イノベーション)の優位性について語った。6日付のAmerican Bankerが報じた。

1973年に設立したSWIFTは、提携する金融機関は世界200カ国に1万1000もあるが、送金スピードが遅く、コストが高いこと批判の的となっており、代わりにブロックチェーンを使って速くて安い送金サービスを手がけるリップルなどの新興企業が注目されている

記事によると、SWIFTのGPIを使う銀行は450行もあり、1日に3000億ドル以上の決済が行われている。GPIによって銀行は、国際送金の過程で常にお金がどこにあるのか確認できる。送金スピードそのもののを上げるわけではないものの、GPIの加盟銀行に支払いの確認を同日中に行うことを求めており、決済の半分は30分以内、40%は5分以内に振り込まれるという。

ただ、リップル社の決済サービスxRapidを使って英国とメキシコ間の国際送金が「数秒」で完了したという報告が出ており、スピード面ではGPIは劣っているようだ。さらにAmerican Bankerの記事では、GPIのコスト面について詳細が明らかになっていない。

レイメーカーズ氏は、リップル社などが基盤にするブロックチェーン技術には透明性と規制にまつわる問題があると指摘した。同氏によるとSWIFTは去年、分散型台帳技術を使ってクロスボーダーの送金実験をおこなったものの、「銀行は、他の全ての銀行が見られる口座でいくらお金を持っているかコミュニケーションをしたくない」という意思表示をしたという。

また、二つの銀行間で送金を行う場合、同じようなKYC(顧客確認)プロセスを持っていない限り、二つの銀行がお互いに信頼し合うことは難しい。この場合、技術の問題というよりは2つの銀行間における「法的な合意」の問題になるという。

レイメーカーズ氏は、こうした問題を解決するためには、すべての銀行が2行間でブロックチェーンを採用するというような複雑な過程が必要になるとし、レイメーカーズ氏は「今日銀行が分散型台帳システムを採用するのはきわめて困難」と結論づけた。