米名門校スアンフォード大学の研究者とVISAリサーチがイーサリアム(ETH)などスマートコントラクトに匿名性をもたらす決済メカニズムを開発したという論文を発表した。

論文は、様々なタイプの重要なアプリがスマートコントラクトに簡単に構築できるようになる一方、「意味のある水準のプライバシーを簡単に加える方法はないようだ」と指摘。例えば、オークション契約をイーサリアム上で構築することは容易だが、入札価格を他者にわからないように提示する封印入札システムを作ることは同じように簡単なことだろうかと問いかけた。

この問題点を解消するため、Zetherという完全に分散化された、匿名性のある決済メカニズムを提案。論文によると、Zetherはイーサリアムや他のスマートコントラクトと互換性がある。残額を暗号化する他、暗号学の証明方法を使って預金や送金、出金ができる新たなスマートコントラクトだという。

また論文は、Zetherがイーサリアムのガス(手数料)削減にもつながると指摘。Zetherを使った取引コストは約0.014ETH(約166円)だったという。論文は、イーサリアムに「小さな変更」を加えることで、手数料を大幅に削減できるようになるだろうと主張した。

欧米を中心に匿名性に対する意識は高まっている。

仮想通貨ライトコイン(LTC)の創設者、チャーリー・リー氏は先月末、代替性と匿名性の重要性について言及。実際に今月7日ライトコイン財団は、プライバシー保護に特化するプロトコロル「MimbleWimble(ミンブルウィンブル)」を実現すると発表した。

また、イギリスの歴史家ニアール・ファーガソン氏は、「分散型台帳モデルで実験をしている理由は、中央によって監視されない何かを構築することだ」という見解を示した