英ロンドン拠点のスタンダードチャータード銀行は、タイ国営石油企業PTTグループなどと協力して、ブロックチェーンを使用したクロスボーダーの信用状(LC)取引の試験に成功した。8月7日にプレスリリースで発表した。

石油業界の貿易決済では、取引での支払いを証明するものとして信用状が使用される。しかしこういった信用状取引には、膨大な書類作業が伴い、書類の受け渡しに最大5日間かかるとされる。

今回、信用状取引の試験は、PTTインターナショナルトレーディングとIRPCパブリックカンパニーとの間で行われた。この取引には「ボルトロン(Voltron)」と呼ぶブロックチェーンプラットフォームが使われたという。

タイからシンガポールへの石油製品輸送に関わるすべての関係者間での情報交換をデジタル化および簡素化することが狙いだ。信用状の発行、勧告、交渉と書類の提示は、すべて同プラットフォーム上で管理されたといいう。

今回の取引に参加した当事者らは、取引の進行をリアルタイムで確認でき、手続きに要する時間が12時間以下となり、従来よりも著しくスピードアップできたと述べている。PTTのマネジングディレクターのホンシンラーク氏は、以下のように述べた。

「このシステムで、貿易金融のフローをリアルタイムで監視できるようさらに可視化され、貿易プロセスの透明性と信頼性を改善し、我々パートナーとステークスホルダー間の関係性を長期にわたって強化する」

英スタンダードチャータード銀行は今月5日にも、中国でブロックチェーンを活用したサプライチェーン向けの金融取引を完了したと発表している

【関連記事:英スタンダードチャータード銀行、ブロックチェーン基盤の金融取引完了

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版