シンガポールのローレンス・ウォン副首相によると、シンガポールの政府系投資会社テマセクは、FTXへの投資により、財務上の損失だけでなく、多くの損失を被ったという。

財務大臣でもあるウォン氏は、テマセクが2億7500万ドルをFTXに投資したことが、同社のレピュテーションに大きなダメージを与えたと考えている。サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道によると、ウォン氏は11月27日、FTXへの出資に対する批判の高まりについて議会で言及した。

ウォン氏は、FTX破綻は「非常にひどい経営状態の会社」であると同時に、利用者の資金を不正に流用した可能性もあると強調した。

「FTXで起きたことは、テマセクに金銭的な損失を与えただけでなく、風評被害も引き起こした」とは述べ、テマセクはプロセスの改善と将来への教訓を得るため、投資に関する内部レビューを開始したことを明らかにした。

シンガポール政府が全額出資する政府系投資会社テマセクは11月17日、FTXの投資額2億7500万ドルを全額評価減したと発表した。この金額は、2022年3月時点のテマセクのポートフォリオ4030億ドルのわずか0.09%だとしている。ウォン氏によると、FTX関連の損失は、政府が得る収益には影響はないとしている。

FTXとテマセクに関する懸念への対応とは別に、ウォン氏はシンガポールが仮想通貨のハブになる野心はなく、むしろ「責任ある革新的なデジタル資産でのプレイヤー」になることを目指していると語った。

「ブロックチェーン技術に関する初期の楽観的な見方は、適切でなかったことが証明されている。これらの技術で何ができるのか、より現実的になってきたと思う」とウォン氏は述べた。また、仮想通貨投資家は仮想通貨への投資をすべて失う覚悟が必要だと強調し、「いくら規制してもこのリスクは取り除けない」と付け加えた。

テマセクはまだ他の多くの産業プラットフォームに投資している。仮想通貨に直接投資していないにもかかわらず、テマセクはバイナンスやアンバーグループなどの大手仮想通貨企業の複数の投資ラウンドに参加していることで知られている。

最近では今年8月、テマセクが、メタバース・ブロックチェーンゲーム大手アニモカ・ブランズの戦略的資金調達ラウンドを1億1000万ドルで主導したと報じられている。