世界的なeコマース企業ショッピファイ(Shopify)が、米大手取引所コインベースとの提携を通じて、サークルのステーブルコインUSDCによる決済機能の早期アクセスを開始した。今後は、イーサリアムのレイヤー2ネットワークBaseを活用し、ショッピファイ・ペイメントおよびショップ・ペイを通じたUSDC決済の完全展開を2025年内に実施する予定だという。
ショッピファイの最高経営責任者(CEO)であるトビ・リュトケ氏は6月12日のX投稿で、「ステーブルコインはインターネット上での自然な取引手段だと考えている。コインベースと協力し、決済用のスマートコントラクト『コマース・ペイメント・プロトコル』を開発した」と述べた。
さらにリュトケ氏は、USDC決済機能を通じて、今後はユーザーに現地通貨での1%キャッシュバックなどの特典を提供する構想もあることを明かしている。
Baseネットワークを決済インフラに採用
USDCの発行・流通状況をまとめたUSDCトランスペアレンシーとコインゲッコーのデータによれば、BaseはUSDC供給量全体の6%を占める第4位のネットワークに成長している。
ショッピファイは「Baseは超高速かつ低コストな決済ネットワークであり、グローバルで24時間365日の送金手段として最適な選択肢だ」と評価している。また、安価で迅速かつ安全なトランザクション環境を提供する点も採用理由に挙げた。
ただし、現時点でショッピファイは他のブロックチェーン(例えばソラナやポリゴンなど)でのUSDC対応や、USDC以外のステーブルコイン・仮想通貨への対応方針については明言していない。この点について、X上では「USDCに対応しているすべてのチェーンをサポートすべきでは?」といった意見も出ている。
2013年から間接的にビットコインサポート
今回のコインベースとの提携によるUSDC対応は、ショッピファイにとって初めての仮想通貨対応ではない。
ショッピファイはすでに2013年時点で、7万5000の加盟店舗すべてに対してビットコイン(BTC)による支払いの受け入れを許可したと発表しており、それ以降はビットペイやソラナペイなどの外部ゲートウェイを通じて少なくとも9種類の追加決済手段を提供している。
今回の提携は、ショッピファイとコインベースにとって仮想通貨領域における初の協業ではない。
両社は2019年〜2020年にかけて、当時フェイスブック(現Meta)が主導していたステーブルコインプロジェクト「リブラ(後にディエムに改称)」にも参加していた。しかし、複数の国際規制当局による反発を受け、同プロジェクトは2022年初頭に正式終了となっている。