中国本土は世界でも有数の仮想通貨規制国とされるが、上海では新たな動きが出ており、ステーブルコインに対する姿勢に変化の兆しが見え始めている。
ロイターの報道によると、上海市国有資産監督管理委員会は10日、ステーブルコインおよびデジタル通貨に対する戦略的対応を協議する会議を開催した。
会議の翌日、同委員会の賀青(ホー・チン)主任は、公式アカウント上の投稿で「新興技術への感度を高め、デジタル通貨に関する研究を強化すべきだ」と強調した。
この動きは、人民元に連動するステーブルコインの開発を求める中国国内の専門家や大手企業からの声の高まりに呼応するかたちで実施されたという。
中国人民銀行、ステーブルコインに注目
中国の中央銀行である中国人民銀行は、米国がサークル社のUSDCなどを通じてドルの影響力を強化しようとしている状況を背景に、グローバルなステーブルコイン採用の流れに注目している。
ウォールストリートジャーナルの報道によると、6月に潘功勝(パン・ゴンシェン)総裁は、ステーブルコインなどの新興技術が国際決済システムに与える変革的な可能性を認め、人民元連動型ステーブルコインの規制承認を求める声が強まったという。
6月23日には、中国メディア『証券時報』が「ステーブルコインの開発は、早ければ早いほど良い」とする論説を掲載した。
また、人民銀行の顧問を務める黄益平(ホワン・イーピン)氏は、香港を人民元連動型ステーブルコインの実験場として活用する可能性に言及した。中国本土では資本規制が厳しく、本格的な実証実験は難しいとの見解を示している。
「香港にはオフショア人民元市場が存在しており、その市場が発展すれば、将来的にオフショア人民元に連動するステーブルコインを香港で発行することも可能になるだろう」と黄氏は述べたという。
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中国政府は実はビットコインを保有しているのか?
中国でのステーブルコインを巡る動きは、中国本土における仮想通貨取引の全面禁止措置──特に2021年9月の大規模な取り締まり以降──が継続されている状況下で行われた。
一部では、中国が将来的に仮想通貨禁止を解除するのではないかという憶測も出ているが、政府が14億人もの国民を高リスクの資産市場にさらすとは考えにくいとの見方も根強い。
一方で、中国政府がビットコインを密かに買い増し、米国に次ぐ世界第2位の保有国になっているとの報告も存在する。ただし、中国政府は公式にビットコインの保有量や売却戦略を明らかにしていない。
FTXの中国向け弁済が憶測に拍車
ステーブルコイン導入をめぐる議論と並行して、中国が仮想通貨規制を緩和するのではないかとの憶測が、FTX破綻に伴う中国国内への返金をめぐる問題により一段と高まっている。
7月初旬、FTXの破産管財団は、米国の破産裁判所に対し、「制限される可能性のある外国管轄区域」への分配を凍結する許可を求める動議を提出した。この「制限される可能性のある地域」には中国も含まれており、該当する凍結請求の総額の82%を占めるとされている。
この動きは各国のコミュニティで反発を招き、中国の債権者の中には「中国は仮想通貨の保有を禁止していない」と強調する声も上がっている。
7月8日には、中国のある債権者が。少なくとも300人の債権者を代表する形でFTX破産財団の動議に対して正式な異議申し立てを行った。
裁判所文書によると、この申し立てに対する判断は7月22日に下される予定となっている。
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