半導体メーカーのシークアンスは、保有するビットコイン(BTC)の約30%を売却して転換社債の半分を償還したと発表した。この動きを同社は「戦略的資産の再配分」と説明している。
シークアンスの最高経営責任者(CEO)であるジョルジュ・カラム氏は火曜の声明で「ビットコイン・トレジャリー戦略およびビットコインへの強い確信は揺らいでいない」と述べた。「この取引は、現在の市場環境を踏まえた上で株主価値を引き出すための戦術的判断だった」と説明している。
今回の売却により、シークアンスの保有ビットコインは3234BTCから2264BTCへと減少。同社が掲げていた「今後5年間で10万BTCを積み上げる」という長期目標から一時的に後退した形となった。売却による収益は負債を1億8900万ドルから9450万ドルに半減させるために充当された。
カラム氏は続けて、「この取引により財務基盤が強化され、特定の債務契約上の制約が取り除かれたことで、より幅広い戦略的取り組みを慎重に進められるようになった。ビットコインは今後も当社の長期的な戦略的準備資産であり続ける」と述べた。
しかしこの発表は市場に歓迎されず、シークアンスの株価(SQNS)は火曜日に16.6%下落し5.92ドルとなった。これは2025年の年初来高値53.90ドルから約89%安となる。この高値はシークアンスが6月下旬にビットコイン戦略を発表したわずか1週間後に記録されたものだった。
上場企業の「ビットコイン戦略」に陰りも
現在、200社以上の上場企業がバランスシート上にビットコインを保有しており、昨年の米国での現物ビットコイン上場投資信託(ETF)承認以降、機関投資家による採用の流れが続いている。
こうした仮想通貨トレジャリー戦略を発表した企業の多くは当初、株価が急騰したものの、その後は熱狂の沈静化とともに株価は下落している。
特に財務体質の強くない企業にとって、ビットコイントレジャリー戦略の持続可能性に疑問が生じているとアナリストらは指摘する。
シークアンスの売却の1週間前の10月29日の時点で、仮想通貨アナリストらは2264BTCの大規模送金に注目していた。これは、上場企業によるビットコイン売却としては過去でも有数の規模となる。
今回の売却により、シークアンスは企業別ビットコイン保有ランキングで33位となり、7月中旬の購入時から4ランク後退した。
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