中国政府は昨年、あらゆる仮想通貨取引を禁止したにもかかわらず、一部の企業はいまだにテザー(USDT)といったステーブルコインを従業員の給与支払いに使っているようだ。

北京日報の2日の報道によると、北京の朝陽区人民裁判所は、USDTなどステーブルコインを給与支払いに使用できないとの判決を下したという。

中国の裁判所は、USDTのような仮想通貨は通貨として市場に流通することはできないとし、すべての雇用主は法定通貨である人民元(RMB)で労働者に給与を支払うよう求めている。

この判決は、現地のブロックチェーン企業のスタッフが、人民元での賃金支払いに応じなかったとして雇用主を訴えた裁判の一部として下されたものだ。原告は、人民元で支払う代わりに、同社が給与とボーナスをUSDTで支払っていたと主張した。

裁判所は、2021年9月に施行された中国の仮想通貨全面禁止を挙げ、USDTのようなデジタル通貨は法定通貨と同じ法的地位を持っていないと指摘した。裁判所は、人民元で賃金とボーナスを支払うという原告の要求は、現地の法律に完全に準拠しており、裁判所はこれを支持した。

そのため、裁判所は被告に対し、原告に支払うべき賃金、業績賞与、年次賞与の合計27万元(4万ドル)以上を支払うよう命じた。

中国人民銀行は2021年9月、中国での仮想通貨に関する一連の禁止措置を正式に発表した。この措置では、10の中国国家当局が、金融プレーヤーがあらゆる仮想通貨取引に参加できないようにする新たな仕組みを構築した。

禁止措置にもかかわらず、現地のブロックチェーン幹部の中にはUSDTのようなステーブルコインに前向きな人もいる。中国の主要ブロックチェーン・プロジェクトであるブロックチェーン・サービス・ネットワーク(BSN)に関わるテック企業、レッド・デート・テクノロジーのイーファン・ヘーCEOは先月、コインテレグラフに対し、適切に規制されてこそステーブルコインがうまくいくだろうと語った。

「USDCやUSDTは支払いに関連する通貨であり、投機的な資産ではない。完全に規制されれば、問題ない」と述べた。

中国からの最新ニュースを取り上げ、同氏は、中国ではすべてのUSDT取引が違法であることを指摘した。しかし、そのような取引を禁止することは、規制当局にとって難しすぎるのではないかという。

「どの国でもUSDTの決済を技術的に禁止する方法はない」