テレグラフがロシア政府からメッセージングサービスの禁止を受けた背景に、ロシア当局による説明とは異なる理由だったことがわかった。当初はロシア当局が暗号化されたユーザーデータを解読できる方法を提供するよう求めたが、パベル・デュロフCEOが拒否したためと言われていた。現地のニュースメディアのRBKが20日に報じた。

 ロシア連邦保安庁(FSB)第12センター職員のローマン・アンティプキン氏からとされる手紙のコピーをRBKが入手した。FSB第12センターは、SORMと呼ばれるインターネット監視システムを運用している。手紙の中では、「まったくコントロールされない金融システム」の可能性が、サービス遮断の理由だという。

「同僚たちへ、話はこれだけじゃない。まったく理解していない!この話は、(暗号解読の)鍵とテロリズムという話ではない。…パベル・デュロフは、新たなマブロディ(ロシアの金融詐欺師)になると決断したんだ。彼が自身の暗号化を確立してしまえば、ロシアに完全に制御不能な金融システムが現れることになるだろう。これはマージナル化されたビットコインという話ではない。それはシンプルで信頼性があり、コントロールできないものになるだろう。これは国家の安全保障への脅威だ。…あらゆる麻薬、現金、臓器売買がパベルの暗号によって行わるだろう。彼は『私はそれには全く関係がない。君たちがテロリストが使うのを禁止するべきだ』と言うだろう」

 RBKによれば、手紙の信ぴょう性は、匿名の連邦政府関係者や通信会社の幹部、政府機関に詳しいRBKのジャーナリストによって裏付けられたという。

 アンティプキン氏自身はRBKに対して「何もコメントはない。何の話をしているのかわからない」と携帯電話で答えた。

 今月16日に行われたテレグラムの禁止では、ユーザーをサービスから遮断するため、グーグルとアマゾンなどのIPアドレスを2000万個ブロックした。しかし、禁止措置による狙いは成功していない。デュロフ氏は、テレグラムは禁止を受けてもアプリ使用が大幅に減っていないと報告し、ユーザーはVPNsやプロキシを利用し、メッセージアプリを使い続けていると述べる。

 一方で、多くのロシア企業は、IPアドレスが誤ってブロックされているため、サービスが利用できなくなっていると報じられている。その中には、禁止を命じた当局であるロシア通信・情報技術・マスコミ監督庁(Roskomnadzor)のサイトも含まれている。