ロシア当局は13日、仮想通貨業界で人気の暗号化メッセンジャーサービス、テレグラムへのアクセスを禁止するようISP各社に要求した。テレグラムは数週間前、独自のブロックチェーンプラットフォーム開発を支援するためのプロジェクトでイニシャル・コイン・オファリング(ICO)プリセールスにより17億ドル(約1824億円)を調達している。
さまざまな地元報道機関がつたえているように、モスクワのタガンスキー地方裁判所の決定は、通信・情報技術・マスコミ監督庁(Roskomnadzor)が、これから国内ISP各社に対しテレグラムへのアクセスを近い将来に遮断させることを意味する。
「我々は数日間、あるいは数時間、または数分間かけて話し合う」と、同庁の責任者アレクサンダー・グラーゾフ氏がタス通信に語った。法廷での簡単なやりとりの後、テレグラムのパベル・デュロフCEOは、自身の個人的なチャンネルとソーシャルメディアを通じ、「自由は売り物ではない」という挑戦的な言葉を発信し、こう続けた。
「テレグラムには、収益の流れや広告の売り上げを気にしなくていいという恵まれた環境がある。プライバシーは売り物ではなく、人権は恐怖や強欲によって損なわれてはならない」
インスタグラムには、砂漠で馬に乗るデュロフ氏の写真が、「本当に自由であるためには、そのためにすべてをリスクにさらす覚悟が必要だ」という記述と共に掲載された。デュロフ氏はテレグラムの弁護士を聴聞会に出席させなかった。彼の言葉によれば、この聴聞会は茶番だからだ。
18年3月末、テレグラムは前月のアクティブユーザーが2億人を記録したと発表した。テレグラム利用者のうち、約1000万人がロシアにおり、この禁止令の影響を受けることになる。
大規模なユーザーベースを持ちながらも、当メッセンジャーサービスは、ICOの第1フェーズの発表、立ち上げ以降、多くの困難に直面している。テレグラムの公開ICOはまだ実行されていなが、2回のプリセールスでは計17億ドルを調達したと噂されている。そこでは数多くの組織的詐欺行為がおこなわれ、無防備な利用者からデジタル通貨資金を騙し取ることに成功したとも言われている。
一方、ロシアでは、複数のメディア業者により、利用者がアクセス遮断を迂回する方法が公開された。VPNサービスの利用などにより簡単に迂回できるという。ウクライナ政府は17年5月にデュロフ氏の有名なソーシャルネットワークのフコンタクテへのアクセスを遮断したが、モバイルアプリからは引き続き利用可能となっている。