リップルのブラッド・ガーリングハウスCEOは、急成長している仮想通貨(暗号資産)の規制領域において、中国は米国よりも先行していると考えている。

7月17日に開催されたデジタル商工会議所による「パラレル・サミット」の中で、ガーリングハウス氏は仮想通貨への中国のアプローチについて「ある意味で私はそれに畏敬の念を持っている」と述べた。

ガーリングハウス氏は、中国の姿勢は仮想通貨のポテンシャルを認識していることに基づいていると主張している。

「これらのテクノロジーの一部が未来の金融システムを動かすことになる基盤となる可能性があることを、彼らが認識していると思う。彼らは、それらの中心で能力を持ちたいと考えているだろう」

規制の明確化の重要性

ガーリングハウス氏は、例としてビットコインとイーサリアムの規制分類について言及している。

米国の規制当局は、2018年と19年に、ビットコインとイーサリアムは証券ではなく商品として分類した。この判断により、企業や個人はこれらの資産に投資することへの信頼が高まったと、ガーリングハウス氏は説明する。

「現在、中国ではビットコインやイーサのマイニングをコントロールしているため、これらの技術が中国が管理していることになる」と、ガーリングハウス氏は語る。「25年前、米国は現在のインターネットを作る上でリーダーだったが、その一部は規制の明確さから来た」と、付け加えている。

ガーリングハウス氏によれば、ブロックチェーン周辺でインターネットと同じ進歩の可能性があるが、米国はこの機会に飛びつくことはせず、代わりに5Gのようなほかのテクノロジーに焦点を当てているという。

米国はデジタルドルに「取り組むべき」

ガーリングハウス氏は今年5月にも、デジタル決済技術の急速な発展の中で、米国が中国に追い抜かれるリスクがあると指摘している

ガーリングハウス氏はツイッターで、「今こそデジタル通貨へとステップアップし、それに取り組むべき時だ」と述べ、米国の政策立案者がデジタルドル導入を検討するべきだと指摘している。その上で、米国が現状に満足してしまえば、中国に遅れを取るリスクがあると主張した。

「中国が仮想通貨と法定通貨の両方の決済においてグリップがより強くなっている一方で、我々は現状に満足することで、実際には後退している」

最近ではリップル共同創業者兼会長のクリス・ラーセン氏も、米国と中国との間で「次世代のグローバル金融システム」を巡る競争が始まっていると主張している

ラーセン氏は「米国政府はブロックチェーンにもっと関与する必要がある」と指摘。中国がデジタル人民元の開発やブロックチェーンの導入において「我々の先を行っている」状況に警鐘を鳴らした。

「我々はこのゲームで遅れを取っている。米国は2017~18年のICO(イニシャル・コイン・オファリング)がひどかった時のスタンスから変わらなければならない。私たちはICOとの戦争では勝った。今、私たちは中国とどのように競争するのか、どのように追いつくのかに切り替える必要がある」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン