仮想通貨イーサリアム共同創設者ルービン氏 VS. リップルのガーリングハウスCEO 「中央集権」をめぐりダボスで激論

リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOとイーサリアムの共同創設者ジョセフ・ルービン氏が23日、スイスのダボスで「中央集権」を巡って議論を戦わせる場面があった

ガーリングハウス氏とルービン氏は、ダボスで開かれたパネル「The Ethereal Lounge」にハイパーレジャーのブライアン・ベエレンドルフ氏と共に登壇。ルービン氏は、現在、イーサリアム上のdApps(分散型アプリ)開発などで有名なコンセンサスの創業者としても知られている。

司会者であるフォーチュン・マガジンの記者が、ガーリングハウスCEOに対して「時々リップルに対して向けられる批判の中に『リップルが大量のXRPを持っているから中央集権ではないか』というのがある。どのように返答するか?」と尋ねたのをきっかけに、ガーリングハウス氏とルービン氏の論戦が始まった。とりわけ両者の意見が食い違ったのは、「トークン所有における中央集権」と「マイニングにおける中央集権」だった。

以下は、ガーリングハウス氏とルービン氏の議論だ(26:27~29:16)

フォーチュン記者:

「時々リップルに対して向けられる批判の中に『リップルが大量のXRPを持っているから中央集権ではないか』というのがある。どのように返答するか?」

ガーリングハウス氏:

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)モデルではないからだ。だから大量に保有していたとしても、何かに対して支配力を持つわけではない。XRPレジャー(リップル社が開発した分散型台帳)は、オープンソースで分散型の技術だ。150以上のバリデーター(取引の承認者)がネットワークの管理をしており、リップルは現在それらの5%未満ほどのバリデーターしか管理していない。我々はXRPレジャーがやりたくないことを強制的にやらせることはできない

たくさんのFUD(Fear Uncertainty Doubt、恐怖、不透明感、疑惑)が溢れおり、たくさんの間違った情報が広まっている。たしかにこれは「聖戦」かもしれない。金銭的な利害関係もある。XRPが中央集権的だという人々は、そのように脚色したいから言っているのだと思う。XRPレジャーは、マイニングを基盤にしたソリューションより分散化されている。PoW(プルーフ・オブ・ワーク)というアルゴリズムの性質上、マイナーたちによる権力集中が中国では起きているじゃないか」

ルービン氏:

「言いたいことがある。聴衆もちょっと議論があった方が喜ぶだろうしね。
XRPはバリュー・トークンであり、オープンなマーケットで取引されている。もしCFTC(米商品先物取引委員会)があなたが供給量の6割を持っていることに気づいたら、彼らはどう思うだろうか?」

ガーリングハウス氏:

「CFTCの代わりに話すことはできない。我々が持っているXRPの5割はエスクロー(第三者預託)に入っている。我々は売ることができないし、何もできない状態だ。実際我々が保有しているのは30%くらいだ…」

ルービン氏:

「けど、あなた達は定期的に売却してるよね?」

ガーリングハウス氏:

「情報開示をして透明性を担保している。あなたはいくら売却しているのか?」

ルービン氏:

「必要なときに(売っているよ)」

ガーリングハウス氏:

「透明性と成熟度はマーケットにとって大切だよ」

ルービン氏:

「そうだね」

ガーリングハウス氏:

「私は透明性について話しているが、この業界が成熟するためには、透明性を示すべきだよ。リップルは、その動きをけん引していると思う。一方、他のエコシステムを見てみると、一体何が起きているのか分からないよ。それは、業界全体にとっても良くないことだし、我々リップルにとっても不幸なことだよ。」

ルービン氏:

「ただ、(その他のエコシステムは)トークン所有の観点で見ると、分散化されているよね?

ガーリングハウス氏:

「トークンの所有が分散化されているのは、PoSを採用している限りにおいてだ。もしマイニングが基盤となっているプロトコルであったら、マイニングの観点から中央集権型ということができる。トークン所有の観点からではない」

ルービン氏:

「あなたの言うマイニングによる中央集権化は、確かにガバナンスにおける一つの小さな観点ではあるね」

【ガーリングハウスCEOが主張するマイニングの中央集権化についてはこちら

ルービン氏:(ハイパーレジャーのベエレンドルフ氏に尋ねる)

「トークン所有の観点から、あなたはどのくらい中央集権的ですか?

ベエレンドルフ氏:

「私達はソフトウエアを作っているだけで良かったよ。ガバナンスの問題は他の人達に任せるよ」

一同:笑

その後の議論の中で、コンセンシスが情報開示をする予定はあるかと問われたルービン氏は、透明性は重要だという認識を示しつつも、「我々はプライベート・カンパニーだ」(ガーリングハウス氏は我々もだと指摘)とし、「どんな情報を開示するかに対しては戦略的にならなければいけない」と主張。「人々にどのくらい払っているのか、いつ払っているのか」などの情報を開示すべきか具体的にまだ考えていないと述べた。

「ビットコインやイーサリアムより分散型」

 ガーリングハウス氏は、先月、一部のマイナーがネットワークの50%以上をコントロールするビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH) よりもXRPは分散化されていると指摘。「もしリップル社がつぶれてもXRPは世界の数百もの取引所で取引され続けるだろう」とし、「XRPが証券ではないことは明白」と改めて主張した

一方、イーサリアムに対しては昨年6月、SEC(米証券取引委員会)のコーポレーションファイナンス担当のディレクター、ウィリアム・ヒンマン氏が、「イーサリアムは証券として規制されないだろう」と発言。またビットコインに関しては同じく昨年6月、SECのクレイトン委員長が「ビットコインは証券ではない」と話している

ただ、昨年9月、SECがのクレイトン委員長は「全てのスタッフの声明は拘束力のないもの」と発言し、「イーサリアムが証券でない」という判断がSECの公式見解ではないことを示しているのではないかと仮想通貨コミュニティーで話題になった

イーサリアムの共同創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏は、昨年7月、コインテレグラフ日本版のインタビューに答えて「イーサリアムのICOはまだ証券とみなされる可能性がある」と分析した

【SECから証券判定を逃れるために必要な「十分に分散化」された状態について解説記事はこちら