インド政府が仮想通貨(暗号資産)トレードを禁止する計画を進めていると、ブルームバーグが15日に報じた。リップルのブラッド・ガーリングハウスCEOは、この動きは「失望させるものだ」と批判している。

ブルームバーグの15日の報道によると、インド政府は仮想通貨トレードを禁止する法案を準備している。匿名の政府関係者は、ブルームバーグに対して、インド政府はブロックチェーン技術の開発は奨励するが、仮想通貨トレードは奨励しないと主張した。

これに対して、リップルのガーリングハウスCEOは、この決定は「失望させるものだ」と述べ、この決定が実行されれば、仮想通貨がインドで金融にアクセスできない人々に役立つ可能性を台無しにするものだと非難した

今年5月の時点で、インドにはおよそ1億9000万人の成人がアンバンクの状況に置かれている。アンバンクとは、銀行口座やほかの金融商品にアクセスできないことだ。一部の専門家は、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨が、投資と貯蓄のためのシンプルなツールとなり、金融リテラシーを促進させる方法であると主張している

インドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)は2018年に銀行が仮想通貨ビジネス関連の取引を行うことを全面的に禁止した。その後、インド国内の仮想通貨企業がこの決定に反対し、法廷闘争を続け、今年3月にインド最高裁判所が、RBIの決定を違憲と判断した

これによりインド全体で仮想通貨の新しいブームが訪れた。仮想通貨取引所OKExとCoinpaprikaが5月に出したレポートによると、OKExは禁止解除後にインドからのサイトトラフィックが545.56%増加し、新規ユーザーも4100%増加した。

しかし、今年6月からインド政府内で仮想通貨を禁止することを検討しているという報道が浮上してきた。この際には財務省が仮想通貨禁止の提案を省庁間協議にかけたというものだった。

インド議会は、新型コロナウィルスのパンデミックのために延期されていたが、今週月曜に再開された。しかし、ブロックチェーンコンサルタント企業Policy 4.0のタンビ・ラトナCEOは、9月13日現在、政府機関が18日間の会期中に提出する法案の中には、仮想通貨禁止法案は出ていないと指摘している

インドの仮想通貨取引所CoinSwitchの創設者兼CEOであるアシシュ・シンガル氏は今年6月、政府がデジタル通貨を全面禁止する可能性は2019年に比べてかなり低下していると述べていた。シンガル氏はインドにおける仮想通貨への認識が変化していると指摘し、「政府の中には仮想通貨を全面禁止するのではなく、正しいステップを歩もうと考える賢い人たちがいる」と期待を示していた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン