リップルでチーフ・クリプトグラファーを務めるデビッド・シュワルツ氏は、スケーラビリティの低さとプライバシーの問題のため、銀行が国際決済の処理にブロックチェーンを導入する可能性は低いと述べた。ロイターが13日に報じた。

 シュワルツ氏は、ロイターとのインタビューの中で、取引時間とコスト削減というブロックチェーン技術の潜在能力を銀行は認めているものの、銀行が世界規模で導入するに足るスケーラビリティとプライバシーが同技術にはまだ無いと主張した。

 xCurrentの不変の「インターレジャー」プロトコルは即時決済を提供するため、既存の支払ネットワークよりも優れているとリップルは主張している。しかし、シュワルツ氏によると、xCurrentは「分散台帳では無い」という。イーサリアム(ETH)やハイパーレジャーのような主要なブロックチェーンネットワークは共有台帳を基盤としているが、xCurrentの場合、ネットワークの参加者は共有台帳へのアクセス権を持たない。シュワルツ氏は次のように述べている。

「取引をプライベートに保ち、毎秒数千回の取引を処理し、想定しうるあらゆる種類の通貨や資産に対応することが必須だと、多くの顧客から言われている」

 リップルのカスタマーサクセス部門の本部長であるマーカス・トリーチャー氏は、同社が以前、「古典的な」ブロックチェーンを用いた支払を銀行に提供するプロジェクトを立ち上げていたと述べた。しかし銀行は「全てをブロックチェーン上に」乗せるわけにはいかないとしてこの計画を拒否した。

 ロイターは、いくつかの銀行は国際決済にリップルのxCurrent技術を試験導入したことは、「やがては銀行を分散台帳に繋げる」可能性があるとしている。

 リップルのxRapidプラットフォームの試験に参加した金融機関は5月、取引コストが40~79%節約され、同時に取引時間も大きく改善し、平均して2~3日が「2分強」になったと報告した

 またスペインに本社を置く国際銀行のサンタンデールは4月、リップルを用いたブロックチェーン支払ネットワークであるワン・ペイFXの立ち上げを正式発表した。ブロックチェーン を使った最終消費者向け国際送金を銀行が手がけるのはサンタンデールが初だという。