米ドルと連動するステーブルコインを手がけるリザーブ(Reserve)の共同創業者兼CEOのネヴィン・フリーマン氏は、各国の中央銀行はいずれ通貨をトークン化するだろうが、ステーブルコインは依然プライバシーの点において有利との見解を示した。

フリーマン氏は5月15日、ニューヨークで開催されたコンセンサス主催のイベントで「変動性の終わり?ステーブルコインが上昇傾向」の公開討論会に出席して発言した。

モデレーターで法律事務所サリバン&ウスターのパートナーであるジョエル・テルナー氏が、なぜ銀行が国家の通貨を単純にトークン化して、法定通貨に裏付けされたステーブルコインサービスを廃業に追いやれないのかと質問。

これに対してフリーマン氏は、中央銀行は実際にトークン化したいが、ステーブルコインと同等のプライバシーが提供できないことが課題になっていると発言。銀行はトークン化された資金の取引履歴や所有権を追跡したいと考えるためという。

こうした見解について、コインテレグラフの記者が「トゥルーUSD(TUSD)やパクソス(PAX)といったステーブルコインは匿名性を確保しているか」というフリーマン氏への問いに対し、法定通貨から仮想通貨へ、またはその反対へ換金する際、あなたの身元は確認されて検証されていると答えた。トークン化された取引はすべて「偽の匿名性」だと述べた。

「偽の匿名性(Pseudo-anonymity)」はビットコインといった仮想通貨が提供するプライバシーを説明する際に使われる言葉で、関係するアドレスに紐づく身元は公開されていなくとも、ビットコイン残高や取引は公開されている。

フリーマン氏はさらに、リザーブはビットコインのステーブル版、「ステーブルビットコイン」の構築を目指しているとし、他にも法定通貨に裏付けされたプロジェクトはあるが、それらはテザーの合法的に信頼あるバージョンなだけで、ビットコインのステーブル版ではないとした。

今月、ビットコイン開発者ピーター・ウィル氏は、ビットコイン開発者向けのメーリングリストの中でタップルート実装におるソフトフォークの提案を行った。タップルート(Taproot)とは、マークル化抽象構文木(MAST)とシュノア署名の特徴を組み合わせることを目指したもので、ビットコイン取引のプライバシーの強化が期待されるとされている。

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版