ICT総研は7日、モバイルキャッシュレス決済(電子マネーやQRコード決済、バーコード決済)の市場動向に関する調査結果を発表した。スマホアプリの電子マネー利用者数は18年度末で1157万人にのぼると分析(前年は893万人)。今後も成長を続け、2022年3月末時点で1953万人に達すると見込む。仮想通貨決済は18年は苦戦の年となったが、キャッシュレス決済は着実に普及しているようだ。
キャッシュレス決済の中でも特にQRコード決済へ参入する事業者が激増しており、政府のキャッシュレス決済比率を引き上げる政策と合わせ、今後もキャッシュレス決済が急ピッチで拡大するとICT総研は予測する。
この調査は決済サービス運営企業への調査に加え、18年12月に実施した4062人へのアンケート調査などをもとにしている。
出典:ICT総研
QRコード決済は急増
スマホのQRコード決済サービス利用者は、17年度末で187万人だったのが、18年度末には512万人に到達すると見込む。さらに19年度には960万人、21年度には1880万人にまで拡大すると予測する。QRコード決済は店舗の設備投資を抑えやすく、導入店舗も急増すると指摘し、Felica型の電子マネーに迫る勢いで利用者数を伸ばすと分析する。
またアンケート調査の結果から、QRコード決済の最も利用されているサービスの順位を出している。最も利用されているのは楽天ペイがトップだった。2位はヤフーのPayPay、3位にLINE Payが続く。ヤフーのPayPayは2018年12月に実施された100億円キャンペーンで後発サービスながら一気に利用者を増やしたと分析。LINE PayはLINEアプリとの連携で登録者数を増やし、その影響で利用者数も上位につけているとみる。
出典:ICT総研
仮想通貨決済は?
QRコードを中心にしたキャッシュレス決済は順調な伸びを見せているが、仮想通貨決済の方はどうだろうか。
日本国内のデータではないが、仮想通貨分析を手掛けるチェイナリシスは昨年11月にビットコイン決済の利用状況について調査を実施した。ビットコイン決済企業17社を対象に調査を実施したが、BTC決済の総額は17年末から18年9月までに約80%減少した。
ボラティリティの高さや決済スピードの遅さといった点が、仮想通貨の決済利用の足を引っ張っているようだ。ただ価格が安定したステーブルコインであれば、電子マネーのような決済利用の可能性にもつながるとの見方がある。
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QRコード決済で上位に並んだ楽天、ヤフー、LINEはそれぞれグループ内に仮想通貨取引所を持つ。楽天はみなし業者のみんなのビットコインを8月に買収、ヤフーは4月にビットアルゴ取引所東京に資本参加、LINEは仮想通貨取引所BITBOXを海外で展開している。仮想通貨・ブロックチェーン技術を蓄積しているプラットフォーマーが、ステーブルコイン導入で新たな仮想通貨決済につながる可能性もあるだろう。
ステーブルコインとは、法定通貨や金などの現物資産に裏付けられた仮想通貨。仮想通貨の問題点として値動きが大きく個人や企業の経済活動では運用しにくい事がある。そこで安定した(ステーブルな)仮想通貨を実現すべく、円やドルといった法定通貨や金などの実物資産の値動きと連動させた仮想通貨が開発された。ペッグ通貨とも表現され、例えばドルと連動する仮想通貨はドルペッグ通貨と表現される。
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— コインテレグラフ⚡仮想通貨ニュース (@JpCointelegraph) 2018年10月31日
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