米国やEUがテロリスト組織として指定する過激派武装組織ハマスとイランに関連する軍事団体が、ビットコイン(BTC)による資金調達活動が活発になっているとされる。エルサレム・ポストが1月19日地元のテロ研究機関ICTの報告書をもとに報じた。

ICTによると、ハマス軍事部門のパレスチナ民衆抵抗委員会(PRC)の関係組織「al-Nasser Salah al-Deen 旅団」の資金調達活動と関連があるとされるビットコインウォレットアドレス「1LaNXgq2ctDEa4fTha6PTo8sucqzieQctq」が異常な活動を見せているとしている。

同ウォレットと関連したトランザクションの調査から、「cash4psという名前の合法とみられる金融ウェブサイト」と関係があるという。このウェブサイトを通じて、提供者の一定の匿名性を確保してガザ地区から資金を送信して受け取ることができるようになっている。

ICTの報告書ではまた、同旅団のメディアプラットフォームのネットワークとさまざまなオンラインの資金調達戦略を地図化し、このウォレットのアドレスがイスラミック・ナショナル銀行(INB)で登録されたアカウントを運営していると思われるある会社と結びついていることもわかった。

INBは、ハマスがコントロールしているとして、2010年に米財務省がブラックリストに掲載している。パレスチナ自治政府(PA)、パレスチナ通貨局、パレスチナ資本市場当局からも違法と宣言されている。

2019年12月1日時点で、ICTはすべてのトランザクションの合計が3370ビットコイン(現時点の価値で約2900万ドル=約32億円)とされ、過去4年間で数千件のトランザクションが行われている。

ICTは、同社のガザ地区にある会社の住所2件と資金調達の背景にあるとされる重要人物、ラマダン・アルカードを特定した。調査の結果、ハマスと繋がりがあるとされる人物だという。

ICTの代表者は、米政府に対し、報告書内で特定したすべてのアカウントをテロリスト関連団体と認定し、国際社会と連携してビットコイン取引所向けの規制や法律を強化するよう忠告した。

仮想通貨を使った資金調達を巡っては、ブロックチェーン上の不正取引を追跡するチェイナリシスが17日、ハマスが仮想通貨を使った資金調達を洗練させていると指摘したばかりだ

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翻訳・編集 コインテレグラフジャパン