カナダのケベック州政府が、仮想通貨のマイナーに対する電力販売の停止措置を解除する。モントリオールの新聞が30日に情報筋の話として伝えた。ケベック州は仮想通貨の「船に乗り遅れることを避けたい」意向で、一時停止措置の解除に踏み切る。

 エネルギー省のピエール・モロー大臣は今後、大量の電力を消費する仮想通貨のマイナーへの電力販売を規制する法令を制定するとみられる。同大臣は2月に「政府はこの種の事業が管理されていることを保証し、イドロ・ケベックの全発電能力がのみ込まれないようにしなければならない」と発言していた。

 現在、100以上の事業者がイドロ・ケベックからの電力購入を希望しており、総エネルギー消費量は10TWhを超える。イドロ・ケベックは約60カ所で水力発電所を操業しており、約13TWhの余剰電力を保有する。

 モントリオール紙によると、これほど大きな電力需要は全く想定されていなかったという。1月にイドロ・ケベックのエリック・マーテルCEOは、今後数年間は仮想通貨マイニング部門に5TWhを販売する予定と語っていた。この決定により、デジタル通貨のマイナー向けに異なる料金体系が設定され、エネルギー会社は「強制的な送電停止」を実施できるとみられる。つまり、イドロ・ケベックは、ケベック州の送電網が最大容量に達した場合、年間100〜300時間の範囲で仮想通貨マイナーへの電力供給を中断することができるようになる。イドロ・ケベック広報担当のマルク・アントワーヌ・プリオ氏は次のように話す。

「このような危機的状況の期間に一部の顧客への送電を中断できれば、より多くの接続が可能になる。(イドロ・ケベックの措置は)経済的利益を最大化し、安定した電力供給を確保することにより、ケベック州における仮想通貨の推進を保証するものだ」

 ケベック州政府は3月、ビットコインのマイナーに安価な電力を提供することに「関心がない」とし、仮想通貨のマイニングを安価な電力でサポートしても地元経済に何ら「付加価値」をもたらさないため好ましくないと述べた

 米ワシントン州のシェラン公共事業区の理事らは4月、無許可のマイニング活動が行われていたことを受け、仮想通貨のマイニングの一時停止を職員に指示した。理事らが発見したマイニング施設は、産業用の電力負荷を考慮した設計がなされておらず、施設が消費する電力量について火災安全面で懸念があると判断された。