パキスタン財務省は、ブロックチェーンベースの金融インフラを監督する専用規制機関パキスタン・デジタル資産庁(PDAA)の設立を承認した。国営放送PTVが5月21日に報じた。
PDAAは、仮想通貨取引所、カストディアン(保管業者)、ウォレット、トークン化プラットフォーム、ステーブルコイン、分散型金融(DeFi)アプリケーションなどのライセンス発行や規制を担う予定だ。
財務・歳入担当連邦相のムハンマド・オーランゼブ氏はPTVに対し、次のように語った。
「パキスタンは、世界に追いつくだけでなく、主導するために規制しなければならない。PDAAを通じて、消費者を保護し、世界中からの投資を呼び込み、パキスタンを金融イノベーションの最前線に導く未来志向の枠組みを築く」
PDAAには、政府資産や国債のトークン化、余剰電力を活用したビットコインマイニングの収益化、そしてブロックチェーン技術を活用したスタートアップ支援といった広範な任務も与えられる。
この新機関の創設は、3月14日に設立されたパキスタン政府の諮問機関である暗号資産評議会の勧告に基づくもので、同評議会の顧問にはバイナンス前CEOのチャンポン・ジャオ(通称CZ)氏が名を連ねている。
暗号資産評議会のビラル・ビン・サキブ氏は、「これは単なる仮想通貨の話ではない。私たちの金融の未来を再構築し、金融アクセスを広げ、トークン化やデジタル金融、Web3イノベーションによって新たな輸出経路を生み出すものだ」とコメントしている。
仮想通貨に慎重だったパキスタンが転換
2023年5月、当時の財務大臣であったアイシャ・グハウス・パシャ氏は、仮想通貨が金融活動作業部会(FATF)の規制を回避する恐れがあるとして、「パキスタンは仮想通貨を合法化することはない」と断言していた。
しかし、その翌年、パキスタンはブロックチェーン分析企業チェイナリシスの「2024年版 仮想通貨採用指数」で第9位にランクイン。特に個人利用による取引高と中央集権型サービスの利用が高評価の要因となった。
統計プラットフォームStatistaのデータによれば、パキスタンの仮想通貨市場は「急成長中」であり、2025年には約2700万人が仮想通貨を利用すると見込まれている。これは人口2億4700万人の約1割に相当する。
また、パキスタンの仮想通貨市場の収益は2025年に16億ドルに達すると予測されている。なお、米国は引き続き最大規模の仮想通貨市場を有し、2025年の推定収益は94億ドルに達する見込みとされている。