パキスタンは仮想通貨サービスの運営を禁止し、仮想通貨取引の合法化は行わないと、アイシャ・ガウス・パシャ財務大臣が5月16日の上院財政・歳入常任委員会の会合で述べた。これは、複数の現地メディアが報じている。パキスタン国立銀行(SBP、中央銀行)幹部のソヘイル・ジャワド氏をはじめとする他の関係者も、この決定を支持した。
パシャ財務相によれば、仮想通貨の禁止は、金融活動作業部会(FATF)がパキスタンをグレーリストから外すために設定した要件の1つだ。グレーリストには、マネーロンダリング対策やテロ資金供与対策が不十分とされる国が含まれ、これらの国々はFATFと協力してその不備を是正している。
SBPと情報技術省は、禁止に関する法律案を作成中だと報じられている。パキスタンの仮想通貨ツイッターコミュニティは、今後の仮想通貨禁止に対する反対意見を表明している。「仮想通貨の禁止ではなく、政府が詐欺や人々を罠にはめるアプリに焦点を当て、そうした問題を解決することを願っている」とダニヤル・アザム氏は書いている。「人々は仮想通貨取引でかなりの収入を得ており、政府はパキスタンの貧しい人々から最後の希望を奪おうとしている」とクリプトアリーナは語っている。
FATFはマネロン対策などで不備がある国に制裁を科すことはできないが、その調査結果は世界中の政府や企業の政策に影響を与える可能性がある。パキスタンの経済は深刻な危機に直面しており、現在、国際通貨基金(IMF)と緊張した救済交渉を行っている。そのため、FATFのグレーリストからの脱却は政治的な優先事項となるかもしれない。
パキスタンでの仮想通貨の普及は比較的高く、2021年にはパキスタン市民が200億ドル相当の仮想通貨を保有していたとされる。ただし、政府の仮想通貨に対する反対は以前からあり、SBPは少なくとも1月以降、仮想通貨の禁止を求めていた。一方でパキスタンは2025年に中央銀行デジタル通貨を発行する計画があり、最近では国家ブロックチェーンの顧客認証プラットフォームを採用している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン