新型コロナウイルスはブラックスワンなのか。

世界同時株安が続く中、2月26日に仮想通貨ビットコイン(BTC)は急落した。9400ドル~9500ドルの間で推移していたビットコインは今朝方から昼にかけてじわじわと値を下げ、一時9101ドルまで下落した。世界的なリスクオフの流れに飲み込まれたという見方が出ている。

(出典:Coin360 日本時間18時時点)

リスクオフに飲み込まれる

25日に米国の代表的な株価指数ダウ工業株三十種平均は879ドル安。欧州やアジアの株式市場も下落し、新型コロナウイルス拡大を嫌気して世界的な株安が続いている。

米疾病対策センター(CDC)は25日、新型コロナウイルスの流行が米国内でも起きる可能性が高いと指摘。中国、日本、韓国、イタリア、イランなどだけではなく、米国での流行に対する警戒感が高まった。

仮想通貨トレーダーのジョセフ・ヤング氏は、「不透明感が高い時、人々は株などリスクの高い資産を売りたがる」と指摘。ビットコインも例外ではなく「コロナウイルスはビットコインにとって必ずしも強気ではない」と分析した。

「本当のブラックスワン」ではないから?

既報の通り、今回ビットコインが金のように安全資産として変われなかったことがマーケットでは話題になっている。26日に金はわずかに上昇。24日には7年ぶりとなる1オンスあたり1688.66ドルをつけた。

(出典:CoinMetrics「ビットコインと金」)

コインメトリックスは、ビットコインと金の相関関係は過去30日間でマイナスになっていると指摘。ビットコイン安全資産説は、「特定のタイプのイベント」のみ通用することが浮き彫りになったと解説している。

「過去の歴史は、ビットコインがユニークな安全資産の性質を持っていることを示している。中央集権的な制度が失敗したり政策ミスを犯したりする時など本当のブラクスワン的なイベントの時にはリスクヘッジの手段となるが、通常のマクロ経済的なサプライズに関しては反応しない」

「ブラックスワン」とは、元オプション・トレーダーのナシーム・ニコラス・タレブ氏が提唱した概念で、確率は低いが、実際起こると甚大な損害をもたらすテールリスクを指す。

その上でコインメトリックスは、新型コロナウイルスは「不透明な地政学的状況」というより「マクロ経済的なショック」である可能性が高いためビットコインが上昇しなかったと説明できると分析した。

主要アルトコインも壊滅

一方、主要アルトコインも大幅に下落している。仮想通貨イーサは8%超、XRPは10%近くのマイナスとなている。仮想通貨市場全体の時価総額は24時間前と比べて14億ドル(約1540億円)ほど減少している。

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