欧州委員会は20日、仮想通貨サービスの提供者に対し、仮想通貨を利用した送金で追加情報を収集することを義務付ける新提案を提出した。この提案は、欧州連合内でのマネーロンダリングを防ぐことを目的としている。

今回の提案では、送金を行うサービスプロバイダーは、送金者の名前、口座番号、口座がどこで開設されたか、取引処理が行われた場所を把握しなければならない。また、本提案では、送金人の住所、公的な個人番号、顧客ID番号、または生年月日と出生地も必要となる。サービスプロバイダも同様に、送金の際に受益者の名前と口座番号、およびその口座がどこにあるかに関する情報を確実に記載する。また、受金者の仮想通貨プロバイダーは、送金元の情報が含まれているかどうか、または欠落しているかどうかを検出するための手順が必要となる。

これらの追加情報要件は、送金額が1000ユーロを超えた場合、または1000ユーロを超える一連の支払いが関連しているように捉えられる場合に適用される。「決済システムや仮想通貨の送金サービスの効率を損なわないようにするため、また、過度に厳格な本人確認要件の結果、取引が地下に潜ってしまうリスクと、少額の資金移動がもたらす潜在的なテロリストの脅威とのバランスをとるため」と、欧州委員会は述べている。

1000ユーロを超える支払いが連続して行われているにもかかわらず、その支払い同士が関連しているようには見えない場合、決済サービス提供者は、「現金または匿名の電子マネーでの支払いに影響を与える」場合や、「マネーロンダリングやテロリストの資金調達を疑う合理的な理由がある」場合を除き、情報を確認する必要はないとしている。

今回の要件更新は、欧州委員会が提出した4つの立法案の一部だ。そのほかの提案は、マネーロンダリングとテロ活動の資金調達を阻止することを目的としている。この提案は欧州議会が最終決定権を持ち、法律として成立するまでには2年程度かかるとされる。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン