韓国のテック大手ネイバーのフィンテック部門ネイバーフィナンシャルが、同国最大の仮想通貨取引所アップビットを運営するドゥナムを買収する計画を進めていると報じられた。買収後はステーブルコイン事業やデジタル金融分野への拡大を目指す。

韓国メディアの聯合ニュース朝鮮日報によれば、ネイバーは株式交換によってドゥナムを子会社化する見通しで、株式交換を承認する取締役会も間もなく開催されるという。ネイバーとドゥナムはコメント要請に回答をしていない。

ネイバーは「韓国のグーグル」と呼ばれる検索エンジン最大手であり、傘下にはメールサービス、ブログ、地図、モバイル決済など幅広い事業を抱えている。

コインマーケットキャップによれば、アップビットは韓国国内で取引量・利用者数ともに最大の仮想通貨取引所とされている。

ステーブルコイン事業と海外展開を視野に

今回の買収後、ネイバーフィナンシャルは韓国ウォンに連動したステーブルコイン事業やデジタル金融事業を開始し、海外進出を積極的に模索する方針とされる。

朝鮮日報は業界関係者の話として「今回の提携は、ネイバーがグローバル・フィンテック企業になるための足掛かりになる」と報じた。

韓国の主要銀行8行はすでに2025年末から2026年初頭にかけてウォン連動型ステーブルコインを発行する計画を発表している。また韓国銀行(中央銀行)の柳相大(ユ・サンデ)副総裁も、まずは銀行をステーブルコインの主要発行者とし、その後徐々に他分野に拡大していくことを支持している

韓国では李在明大統領が6月に就任して以降、仮想通貨関連の法整備が進んでおり、ステーブルコインの合法化法案を含む複数の法案が推進されている

株価は11%急騰

ネイバーが仮想通貨分野に参入するのは初めてではない。2024年8月には、スポーツ特化型ブロックチェーンのチリーズと提携し「Naver Pay Wallet」という仮想通貨ウォレットを立ち上げている

今回の報道を受け、ネイバー株は11.4%上昇し、25万4000ウォン(約181ドル)で取引された。

同社は第2四半期に20億ドル超の売上高と3億5500万ドル超の純利益を計上しており、同期間のグーグルの960億ドルと比べると規模は小さいものの、韓国市場で圧倒的な存在感を持つ。

Source: Google Finance 

韓国の仮想通貨取引所利用者は増加傾向

ドゥナムは非上場企業だが、コインマーケットキャップのデータによると、同社が運営するアップビットは韓国最大、世界でも取引高で第4位の仮想通貨取引所となっている。24時間の現物取引量は29億ドルに上る。一方、世界最大のバイナンスの取引高は238億ドルとなっている。

韓国の仮想通貨取引所利用者数は、2024年11月の米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受けて勢いを増し、2025年2月には1600万人を突破した。年末までに国内人口5100万人のうち2000万人に達する可能性もあると見られている。

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