デジタル音楽ストアのパイオニアとして知られる「eミュージック(eMusic)」が実施した調査によると、サービス利用者は、アーティストの収入が増えるなら仮想通貨(暗号資産)を使った支払いに寛容であることが明らかになった。

コインテレグラフに共有された調査結果によると、eミュージックのユーザーの65%がアーティストの収入が増えるならば仮想通貨での支払いを選択すると回答した。一方で、回答者の中では過去にビットコイン(BTC)やそのほかの仮想通貨を使ったことがあるというユーザーは8%にとどまった。

調査は800人のユーザーを対象に仮想通貨と利用について質問した。

調査データによると、アーティストの楽曲が購入されたり、ストリーミングでダウンロードされたりする場合の印税が、ユーザーの40%が「高すぎる」と回答した一方、87%が「公平な取り分」を考慮するとより高くなるはずと答えた。最も公平な取り分は50%ずつにすることだと回答した。

国際レコード産業連盟が5月に発表した報告書によると、2019年の全世界の音楽収入は202億ドルに到達。200億ドル以上となったのは2004年以来、15年ぶりのことだった。この回復に音楽ストリーミング業界の成長が牽引役となったことが指摘されるなど、順調に産業の拡大に貢献しているように思える。

しかし、音楽ニュースサイト「サウンドチャート」の分析によると、音楽ストリーミングサービスのスポティファイ(Spotify)ではアーティストには1ストリームあたり0.00318ドルしか支払われていないと推定されており、産業の成長とは裏腹にアーティストに公平に分配されていない実態が浮かび上がっている。

ロイヤリティを公平にするために仮想通貨を

コインテレグラフが5月に報じたように、eミュージックは従来の音楽配信が非効率なコストがかかっていることや、アーティストに公平な分配がないことなどを理由に分散型の音楽配信システムを構築。ファンが音楽を購入したり、ストリーミングしたりする際にアーティストにより多く配分される世界を目指している。

1998年に立ち上がった「Eミュージック(EMusic)」はDRMフリー(デジタルコンテンツの複製を防ぐためのデジタル著作権管理技術が施されていないこと)のMP3音楽をいち早く販売したウェブサイトの一つとして知られている。

企業データサイトの「Owler」によると、同社は従業員を278人雇用し、6570万ドルの年間収入を得ている。

仮想通貨を使って音楽業界を公平にするというアイデア自体は他にもある。

独立系テックマーケティングで、PRコンサルタントのエリック・ドイル氏は、ブロックチェーン技術を音楽業界に応用しようとしているプロジェクトは多く存在すると語っている。

例えば、Tune.fmはへデラハッシュグラフが提供する仮想通貨JAMトークンを使用する音楽ストリーミングプラットフォームだ。JAMを使うことでアーティストはストリーミング音楽の報酬を毎秒毎に受け取れるようになっている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン